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EU、英の離脱合意修正「月内撤回を」 FTA合意に危機

(更新)
EUは離脱協定の一部を書き換える英の行動を強く批判している=AP

【ロンドン=中島裕介】欧州連合(EU)の欧州委員会は10日、発効済みのEUとの離脱協定の一部を修正する内容を含む英国の国内法案を9月末までに撤回するよう英政府に要求した。英政府は「議会には主権があり、国際条約に抵触する法律も可決できる」と反論した。同日まで行われていた自由貿易協定(FTA)交渉でも進展はなく、合意は遠のいている。

欧州委のシェフチョビッチ副委員長は10日に急きょロンドン入りし、英国の国内法の真意を問いただすためにゴーブ英国務相と会談した。欧州委は会談後に出した声明で「法案が提案通り成立すれば、離脱協定に明確に違反する」と指摘した。

シェフチョビッチ氏は協定の順守義務にも反するとして、英政府に「9月末までの早期に」法案から違反箇所を削除するよう求めた。EUは英政府の対応次第では、法的措置も辞さない方針だ。

離脱協定には過去の紛争の再発防止のため、英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの間に物理的な国境を設けないための解決策が盛られた。これにより北アイルランドでは原則、EUの関税ルールに従うことになっている。

だが今回の新法にはFTA交渉が決裂した場合に、英本土と北アイルランド間を動く商品の関税ルールを英政府が決められる内容などが盛り込まれた。新法には「国際法や他の国内法との矛盾にかかわらず効力を持つ」と記されており、EUの強い反発を招いている。

これと並行して英・EUは8~10日の日程でFTA交渉の第8回協議を実施したが、協定書き換え問題が尾を引き進展はなかった。EUのバルニエ首席交渉官は協議後の声明で、公正な競争の確保や英海域での漁業権の問題など「重要な分野で大きな違いが残っている」と指摘。「協定の締結には相互の信頼が必要だ」と英国の一連の行動に不満をにじませた。

両者は今後も断続的に協議を続けるとしたが、英国の対応次第では「FTAなし」のまま交渉決裂となり、年末の移行期間終了後に経済活動が混乱する恐れもある。新法は膠着するFTA交渉でEUから好条件を引き出すためのジョンソン英首相による瀬戸際戦術との見方もある。ただメイ前首相ら身内の与党議員からも批判は強まっており「新法が英議会で否決される可能性がある」との見方も出ている。

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