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花王とライオン、洗剤の詰め替え容器リサイクルで連携

花王の沢田社長はリデュースにリサイクルも加える構えだ

花王ライオンというライバル企業が洗剤などの詰め替え容器のリサイクルで異例のタッグを組む。両社は10日、使用済み容器回収の仕組み作りやリサイクル技術の開発で連携すると発表した。国内の詰め替え品の普及率は8割と世界的にみて高いが、リサイクルは実現できていない。普段は競合する2社が技術を持ち寄り「ジャパン・モデル」の確立を目指す。

ライオンの掬川社長はライフスタイルの見直しにつながることを期待している

「徹底的にプラスチック使用量を削減してきたが、大規模なリサイクルにはつながっていない。リサイクルができれば循環型社会の構築に結びつく」。花王の沢田道隆社長は、こう強調する。

これまで両社は「リデュース」に力を入れてきた。プラ使用量が本体容器の2~3割で済む詰め替え容器は典型例だ。日本石鹸洗剤工業会によれば、1998年に28%だった詰め替え比率は18年に79%まで高まった。

しかし洗剤など内部の液体を正常に保つためにはポリエチレンやポリアミドなどを合わせた複合素材にする必要があり、リサイクルが難しい。現在は他のプラ製品と混ぜて廃棄され、焼却される場合が多いという。

花王とライオンは回収の仕組みづくりから技術開発まで幅広く協業する。まずは両社で約40人の組織を設立し、年内をめどに自治体と連携して使用済み詰め替え容器の回収を始める。分離手法やリサイクルが容易な単一素材の開発を進め、2025年までに使用済み容器から同等の容器をつくる「水平リサイクル」の実用化を目指す。

花王とライオンがここまで本格的に手を組むのは珍しい。業界団体の日本石鹸洗剤工業会ではライオンの掬川正純社長が会長を務め、海洋プラごみ削減を目指す団体「CLOMA」の会長を沢田社長が務めるなど、日常的な関わりはある。

ただし「会社を超えた連携の必要性を訴えてきたが、実動が伴っていなかった」(掬川社長)のが実情だ。「掛け声はあるが、実行に移すには至っていない」(沢田社長)状況だった。今後は両社に続く連携企業を増やしていく方針だ。

スーパーなどの購買データを収集する日経POS情報によれば、ハンドソープの詰め替え用の販売個数シェアは2社合わせて7割に達する。衣料用洗剤や食器用洗剤でも6割に上る。「競合同士だが、ESG(環境・社会・企業統治)の視点では協業関係」(沢田社長)との立場で、互いの技術の共有化を進める。

花王やライオンが主力とする洗剤など日用品のプラ使用量は約8万トンで、国内のプラ使用量全体の100分の1程度にすぎない。それでも「消費者に身近な商品だからこそ、ライフスタイルを見直す契機になる」(掬川社長)と期待している。

詰め替え容器がこれほど普及している国は世界的にみて珍しい。洗剤などの容器の水平リサイクルは海外でも始まったばかりで「業界標準」というべき手法はまだ固まっていない。沢田社長は「ジャパンモデルとして、世界に先駆けて実現したい」と意気込む。この枠組みに参加する国内企業が増えれば、日本発の省資源化の取り組みとして世界に広まる可能性もある。

(川井洋平)

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