小劇場、再開と発展誓う「演劇を止めるな」大阪でフェス
文化の風

関西タイムライン
2020/9/11 2:01
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演劇祭を主催するゲキゲキは得意のコメディー作品で参加する(2017年の大阪市での公演 gekiGeki 2nd『1000年の恋』)

演劇祭を主催するゲキゲキは得意のコメディー作品で参加する(2017年の大阪市での公演 gekiGeki 2nd『1000年の恋』)

コロナ禍によって公演の場を失っていた小劇場系演劇の再開をアピールする「ターニングポイントフェス~関西小劇場演劇祭~」が19、20日にABCホール(大阪市)で開かれる。「演劇を止めるな。」を合言葉に幅広い世代の演劇人が集結。発信力が低下している演劇の魅力を改めて多くの人に訴える。

■世代超え18団体

演劇祭には結成40年を迎えた関西小劇場界の雄、南河内万歳一座から高校生劇団まで18団体が参加。ジャンルも今回の演劇祭を主催するゲキゲキ/劇団「劇団」をはじめとするエンターテインメント色の強い劇団や、ギリシャ劇など古典の上演に定評のある清流劇場など幅広い。各劇団が20分前後の作品を制作し、1日9団体ずつ2日にわたって上演する。

「在日」を題材にした作品で知られるMayは「虫」と題した新作で参加する。徐々に時間をかけて築いたはずの友人関係が、片方の実の姿が明らかになることで変質していくさまを描く。タイトルは「昆虫食」になぞらえた。Mayは「日本社会に苦しめられる人々というステレオタイプな在日像とは異なる『在日』を描いてきた」(作・演出を手掛ける座長の金哲義)。今回は会話劇の形式でコミカルに展開する。

いいむろなおきマイムカンパニーは総勢13人のマイム劇で参加する。白昼夢のようにおかしなことが次々に起きていくイメージの作品という。言葉を発さないマイムは演者の飛沫飛散リスクは低いが、上演は一般的な劇団と同じく激減。カンパニーとして久しぶりの上演に「コロナ以前でも集団のマイム劇の上演機会は多くなかった。様々なジャンルの劇団が集まった公演で多くの人の目に触れられる貴重な機会」といいむろは言う。

このほか、コント形式や朗読劇など多彩な演目が予定され、フリーランスの俳優10人を集めたスペシャルユニットも参加する。

劇場の席数を満席時の4分の1の75席程度に減らす。「演劇をコロナ前に戻すのでなく、より多くの人に開かれたものにしたい」(ゲキゲキ主宰の古川剛充)と全プログラムを無料オンライン配信する。

■後悔胸に「徒党」

実行委員の一人わかぎゑふは「(関西の演劇界が勢いを失った)2000年代初頭の二の舞いにしたくない」と思いを語る。当時、関西小劇場界の拠点だった扇町ミュージアムスクエア(OMS)などが相次ぎ閉館。「『関西小劇場の灯が消えた』と報道され、バタバタと劇団がつぶれた」。上演が激減する現状を当時と重ね「徒党を組んで演劇は死んでいないと発信しなければ」と話す。

演劇祭実行委員は主催者であるゲキゲキの古川剛充(右から2人目)、わかぎゑふ(同3人目)らが務める

演劇祭実行委員は主催者であるゲキゲキの古川剛充(右から2人目)、わかぎゑふ(同3人目)らが務める

コロナ禍以降、社会にとって演劇は「不要不急のもの」とする風潮が広がったとの見方がある。ベテラン演劇人らがそれに抗い演劇が社会で果たす役割を言葉にして訴えたが、思うように響かなかったもどかしさもある。

今回、演劇の存在を広くアピールしようと企画を主催したゲキゲキは10年結成の若い世代。公演準備は世代間交流の場にもなり「関西演劇界のレジェンドたちの考えを知り、とても勉強になった」(古川)という。新旧世代の異なる経験や発想が混じり合うことが演劇というジャンルの活性化にもつながる。

「演劇界の外側にいる人に演劇を見てもらうために、まず演劇界の横のつながりを強くする必要を感じた。幅広い世代が集まる機会を一度きりで終わらせず、継続していきたい」(同)。演劇祭によって関西の演劇界が再起動し、より多くの人に親しまれる契機になることを期待したい。

(佐藤洋輔)

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