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都心オフィス賃料、80カ月ぶり下落

空室率上昇続き、2018年2月以来の3%台に

オフィス賃料の上昇が止まった

7年近く上がり続けてきた東京都心のオフィスビルの賃貸料が下落に転じた。仲介大手の三鬼商事(東京・中央)が10日発表した8月の都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)平均募集賃料は3.3平方メートル2万2822円で前月比0.83%下がった。空室率は2018年2月以来の3%台に上昇。オフィス市況は転換局面に入った。

調査対象(8月は2606棟)のオフィス募集賃料は8月に前月から192円下がり、13年12月以来のマイナスに転じた。7月には2万3014円まで上昇。08年8月にリーマン・ショック前の高値となった2万2901円を超え、単月のデータがある02年1月以降の最高値となっていた。

8月の新築ビル(28棟)の賃料は3万3235円と0.85%上がったものの、竣工後1年が過ぎた既存ビル(2578棟)の賃料は2万2588円で0.83%下がった。地区別にみても、5区すべてで賃料が下落した。

賃料の上昇が止まったのは、新型コロナウイルスの感染拡大で解約が目立つ中型や小型の物件などで賃料を下げて募集する大家が増えてきたためとみられる。また、新築ビルなどへの移転に伴う2次空室が増え始め、大規模なビルでテナントを募集する動きもある。需要の弱まりが賃料の下落圧力を強めつつある。

賃料の下落は空室率の上昇と相関関係にある。8月の5区の空室率(退去が決まり大家が募集を始めたスペースを含む)は3.07%で前月から0.3ポイント上がった。3月から6カ月連続で上がっており、3%を超えたのは30カ月ぶりとなる。

変動が大きくなりがちな新築ビルの空室率は2.46%だったのに対し、既存ビルは3.09%で前月から0.3ポイント上昇した。もともと歴史的な低さだったとはいえ、大幅な上昇が続く。

従来、5%の空室率が需給の均衡した状態で、これを境に賃料が反転するとされてきた。ただ、現在は棟数が30年前と比べておよそ1.5倍に増え、1棟の規模も大きくなっている。3%程度でも賃料の動向に強く影響した可能性がある。

また、コロナ禍で在宅勤務が定着するにつれ、従来のようなオフィスのあり方を見直す動きも一因といえそうだ。中長期的に需要が減退するとの見方は、テナント確保のための賃料の引き下げを起こしうる。

ピークを過ぎた賃料は空室率の上昇につれて下落が続くのか。仲介大手の三幸エステート(東京・中央)傘下のオフィスビル総合研究所(同)は、すぐに入居できるスペースだけを集計した空室率が現在の1%台から今後1年間で4%台になると予測。賃料は横ばいか緩やかな下落へ向かうとみる。

同研究所の今関豊和代表取締役は「経済の落ち込みはいったん底入れした」と指摘。「空室率が8%を超えたリーマン・ショック後に比べると、賃料下落の影響は限定的になりそうだ」と話す。

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