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コロナワクチン治験中断 独立委員会がデータ精査中

英アストラゼネカは自主的に新型コロナウイルスのワクチンに関する臨床試験を一時的に中断した=ロイター
日経バイオテク

英製薬大手のアストラゼネカは9日、開発中の新型コロナウイルス感染症のワクチンについて声明を発表。英国で実施していた最終段階の第3相臨床試験(治験)で原因不明の疾患(イベント)が1例発生し、通常の対応として精査するため、自主的に全臨床試験でワクチン接種を一時的に中断していることを明らかにした。専門家からなる独立委員会が安全性データを精査しており、その見解に基づき、臨床試験を再開するかどうかが決まる見通し。

アストラゼネカは声明で、今回の対応は、臨床試験で原因不明の可能性がある疾患が発生した場合に取る、通常の対応であると説明。大規模な臨床試験において、疾患は偶発的に起こり得るものであり、それを独立委員会が精査するのは当たり前のことであると強調した。声明では、第3相臨床試験で発生した原因不明の疾患の詳細は明らかにはされなかった。

ただ、一部報道では、(1)深刻な神経症状が発生し、臨床試験でのワクチン接種を中断するのは今回で2回目である(2)1回目は、7月に1例が横断性脊髄炎の症状を呈し、臨床試験が中断された後、ワクチン接種とは無関係の神経疾患と診断され、安全性のデータを精査後に臨床試験が再開された──と報じられている。そのため、今回発生した原因不明の疾患が神経疾患ではないかとの見方もある。

もっとも製薬業界においては、臨床試験が中断されることも、中断された臨床試験が再開されることも、珍しいことではない。原因不明の疾患がどのようなものか、その疾患がワクチン接種と関係するのかについては、独立委員会の見解が待たれるところだ。

開発中のワクチンは、英オックスフォード大学が創製したウイルスベクター(ウイルスを運び手とする)ワクチン。チンパンジーから単離し、弱毒化させたアデノウイルスベクターに、新型コロナウイルスが感染する際に足掛かりとするスパイクたんぱく質遺伝子を導入したもの。接種後に体内でスパイクたんぱく質が発現し、スパイクたんぱく質に対する中和抗体や細胞性免疫など、新型コロナウイルスへの免疫が誘導できると期待されている。4月30日、オックスフォード大学はアストラゼネカと全世界での開発、製造、供給で提携した。

アストラゼネカやオックスフォード大学は現在、複数の国・地域で、ワクチンの有効性(接種により発症や重症化が減るかどうか)と安全性を評価する試験を実施しており、(1)英国で1万260例を対象とする第2相・第3相臨床試験(2)ブラジルで5000例以上を対象とする第3相臨床試験(3)米国で3万例を対象とする第3相臨床試験──が進行中。今回、原因不明の疾患が1例発生したのは、英国で実施中の第2相・第3相臨床試験の第3相部分だったとみられる。

(日経バイオテク 久保田文)

[日経バイオテクオンライン 2020年9月10日掲載]

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