松竹、創業125年でのデジタル改革 LINE提携に活路

2020/9/10 16:09
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松竹は10日、LINEと提携すると発表した。映画などの配信を検討し、LINEのデジタル技術を活用して、観客のデータ分析による販売促進でも協業する。新型コロナウイルスで興行は厳しさを増す。創業125年の老舗企業はLINEとコロナ下の興行ビジネスの在り方を探る。

松竹の歌舞伎座(東京・銀座)

「リアルだけの一本でいいのか」。松竹で新規事業を担当する井上貴弘取締役は、コロナで昔ながらの興行が難しさを増していることに危機感を強めていた。

2020年3~5月期の連結最終損益は8年ぶりの赤字に転落した。映画館の座席を半分に減らし、演劇など一部作品を配信するなど試行錯誤していたが、抜本的な対策とは言いにくかった。

目を付けたのが、コロナ下で改めて注目されていたLINEだ。7月、井上氏は「一気にデジタル化を進めたい」とLINEの舛田淳取締役に協業を打診した。ライブ配信などエンターテインメント分野に力を入れるLINEもコンテンツ制作のノウハウを得られると判断し、約1カ月で提携にこぎ着けた。

まず松竹の事業のデジタル化を進める組織「松竹DX(デジタルトランスフォーメーション)コンソーシアム」を10日に設立した。LINEが運営するライブ配信サービス「LINE LIVE」で松竹の映画や演劇のオンライン配信を検討する。タイトルなどの詳細は今後詰める。

さらに松竹が期待しているのが、LINEの技術を駆使したデータ分析だ。松竹は顧客情報を全社的に分析するマーケティングの担当部署が社内になかった。そこでLINEと映画や演劇の鑑賞履歴を共通のIDで管理し、観客の特性や好みを把握することも検討する。分析したデータを活用し、グッズの販売や別の演目への送客などにつなげる。

コロナ下でも松竹含め映画などの興行会社は配信などのデジタル対応に後ろ向きだった。傘下に映画館などの劇場を運営する興行会社をもつため、スマホなどで配信すれば劇場収入が減るためだ。ただコロナの長期化を受け、対策を進めざるを得ない状況になった。

課題は松竹がLINEのスピード感に合わせられるかどうかだ。協業の内容次第では新会社の設立も検討するそうで、まずは具体的な成果を出せるか。日本の興行ビジネスがコロナ下で生き残れるかの試金石にもなる。(平岡大輝)

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