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高額分配の光と影、好成績の証しでも複利効果剥落
投信観測所

2020/9/14 12:00
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投資信託の分配金は目論見書などの公式資料では「収益分配金」と表記されている。その印象もあって、分配金を多くもらえればもらえるほど、さぞかし運用もうまくいっていると思いがちだ。高額の分配金が好成績の証しというケースはあるものの、元本を取り崩しながら高額分配を続けているといった場合も少なくない。

さらにどちらの場合でも、分配金を多くもらうほど、基準価格の上昇に伴って複利式に運用資産が増大していく長期投資の効果が剥落する。高額分配の現状を調べてみた。

■1年で1000円以上分配は117本

投資信託の基準価格や分配金は、例外もあるが通常1万口当たりで表示される。ETF(上場投信)を除く追加型株式投信5210本のうち、8月末までの1年間で1000円以上の分配金(1万口当たり、課税前)を出した投信は117本あった。5年前の730本強、2年前の380本弱に比べ減少してきている。

現在もなお高額分配しているのはどんな投信か。分配金額の多い投信20本を表にした(図A)。

分配金額最大は、三菱UFJ国際投信が国内の不動産投資信託(REIT)を組み入れてアクティブ運用する毎月分配型の「三菱UFJ Jリートオープン(毎月決算型)」で、1年間に3600円分配した。同投信は2017年6月に私募運用から公募投信に転換し、それ以降毎月300円の分配金を出している。

一方、基準価格のリターンをみると、1年前に比べ、基準価格は分配金を含まずに28.8%下落。基準価格が下落する中での分配は元本の取り崩しを伴いやすい。仮に1年前に同投信を購入したとすると、分配金3600円のうち約66%が元本払い戻しの特別分配金となった計算だ。

分配金額2位は、アセットマネジメントOneが国内中小型株投資として運用を手掛ける年2回決算型の「企業価値成長小型株ファンド」。今年2月と8月にそれぞれ1150円、2350円と合計3500円の分配金を払い出した。基準価格は分配金を含まずとも1年間で27%上昇しており、運用が堅調な中での高額分配と言えそうだ。このため、1年前に購入した場合、3500円の分配金はすべて収益還元の普通分配金になり、元本払い戻しの特別分配金は1円もなかったことになる。

このように、最近の高額分配は毎月分配型よりもむしろ、申し分のない好成績を上げた年2回や年1回決算型の投信で目立つ傾向にある。分配金額3位で3250円の「グローバル・フィンテック株式ファンド(年2回決算型)」(日興アセットマネジメント)もこの手の投信だ。

■分配金は基準価格の中から払い出す

ただ、分配金が多いと単純に喜んでばかりはいられない。分配金を受け取ると、投資額のうち分配額を受け取った分については、それ以降運用に回されないことを意味する。分配金はその多寡にかかわらず基準価格の中から払い出すので、利益確定のもうけであっても運用資産を取り崩すことに変わりない。

加えて、表の元本払戻金の割合はあくまで1年前に購入した場合の数値だ。同じ投信でもこの数値は、いつ時点の基準価格で購入したかによって決まり、投資家ごとの個別元本によって変わってくる。仮に決算日の前日に購入した場合は、高額の分配金をもらってもそっくりそのまま元本払い戻しの特別分配金になってしまう、というのも理屈上は起こりえる。

受け取った分配金を再投資するにしても、分配金は課税対象になる。再投資に回すくらいなら、分配金を最初から払い出さない投信を選ぶ方が理にかなっている。

総合すると、長期の資産形成を考えた場合、分配金を多く受け取るほど、運用資産額が複利の仕組みで膨らんでいく効果を薄めてしまうことにつながる。

図Bは「三菱UFJ Jリートオープン(毎月決算型)」について、分配金(課税前)を現金で受け取り続けた場合と、仮に分配金の払い出しが一切なかったとした場合の運用成績の推移を対比したものだ。

分配金をもらわないと基準価格の上昇に合わせて複利効果が働き、分配金を受け取り続けた場合の運用成績を引き離していく様子がわかる。2019年末にかけ10ポイント程度の差をつけた。

もっとも、分配金は運用資産の一部現金化に他ならないので、基準価格の急落局面では下落を和らげる働きをする。コロナショックを受けて、国内REIT相場が総崩れとなった3月から4月にかけては、分配金を受け取った方が運用資産の目減りが少ない。ただ、基準価格が上昇傾向に転じた足元では再度、分配金を受け取らない方が優位に立ってきているのが見てとれる。

■定期売却サービスの活用も

それでも、高齢層など長期投資を前提としない投資家が老後生活費を補てんする意味合いで、分配金に魅力を感じるのは不思議ではない。

そうした投資家は、投信自体が払い出す分配金に期待を寄せるのではなく、自分で投信を一部売却・換金していくのも一法だ。最近はネット証券を中心に「定期売却サービス」と呼ぶ機能が広がりつつある。保有投信の一部を、一定額や保有口数に対する一定割合で毎月自動解約することが可能になってきた。

高額分配の実績があるというだけで飛びつこうとせず、販売会社が提供する解約サービスの活用も踏まえ、高額分配の光と影、ありがたみとデメリットをしっかり理解したうえで、投信を選ぶようにしたい。

(QUICK資産運用研究所 高瀬浩)

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