Me Tooの実感、女優が連作映画プロデュース

文化往来
2020/9/16 2:00
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「蒲田前奏曲」の第3番「行き止まりの人々」(安川有果監督)。瀧内公美(左)と松林うらら
(c) 2020 Kamata Prelude Film Partners

「蒲田前奏曲」の第3番「行き止まりの人々」(安川有果監督)。瀧内公美(左)と松林うらら
(c) 2020 Kamata Prelude Film Partners

「俳優として活動する中で、疑問や憤りを感じ、女性の生きづらさについて考えた。日本では俳優は受け身の傾向にあるが、能動的に企画し表現することに意義があると思った」

映画「蒲田前奏曲」(25日公開)をプロデュースした女優、松林うらら(27)はそう語る。中川龍太郎、穐山茉由、安川有果、渡辺紘文という気鋭の4監督の短編を連ねた連作長編で、全体を貫くテーマは「女性の生きづらさ」だ。

自身が育った東京・蒲田を舞台に、身の回りで起きたことを題材にした。中川編は弟に彼女を紹介された姉のショック、穐山編は学生時代の友人5人の女子会で明かされるそれぞれの悩み、安川編はずばり映画のオーディションでのセクハラの告発、といった具合だ。伊藤沙莉、瀧内公美らを各編の主演に迎え、東京中心主義の映画作りを批判する渡辺編を除き、売れない女優、蒲田マチ子役として松林も出演する。

松林が4監督にそれぞれお題を出し、話し合いを重ねて作り上げた。アルバイト先の保険代理店にはスポンサーになってもらった。

自身もプロデューサーからセクハラを受けた経験がある。「今も怒りを感じる」。その上で単に加害者をおとしめるのでなく「表現者として作品に昇華したかった」。オーディションのシーンでの監督たちの理不尽な要求や言葉もリアルだ。「たくさんの男たちに一人の女が審査される。俯瞰(ふかん)してみるとすごくシュールな世界」。#Me Tooの実感が説得力となり、蒲田マチ子のように困難な今を生きる数多くの若い女優、若い女性の存在を感じさせる。

今後もプロデュースに取り組み、将来は監督にも挑戦したいという。「何でも俯瞰して見てしまうのは昔から。もう一人の自分が後ろにいる」。プロデューサーの資質はありそうだ。

(古賀重樹)

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