「最強官庁」率いる財務相、首相経験者の起用も
予算編成や税の徴収を担う財務省は「最強の官庁」と呼ばれてきた。トップの財務相は最重要閣僚の一人だ。任務の重要性から有力政治家が就任するのが一般的で、第2次安倍内閣で財務相に就いた麻生太郎氏のように首相経験者が起用されることもある。


戦後、軽武装・経済重視で高度成長を実現した日本では、蔵相が最重要ポストになった。田中角栄氏は池田内閣で史上最年少の44歳で蔵相に就任した。佐藤内閣にかけて3年近く蔵相を続け、大蔵官僚の信望を得て飛躍した。
2001年の省庁再編で財務省となり、初代財務相には旧大蔵省出身の宮沢喜一氏が就いた。財務相は20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議など参加する国際会議が多く、海外出張も多い。
麻生氏は第2次安倍内閣発足から財務相を務めた。財務相としての在任期間は18年2月に戦後歴代1位となった。2位の宮沢氏が中曽根、竹下、小渕、森の歴代内閣で財務相(蔵相)を務めたのに対し、麻生氏は同一内閣で務め続けた。同一内閣の連続在任期間としても2位の池田勇人氏(1353日)を大きく上回った。
麻生氏はデフレ脱却の担当相も兼ねており、日銀による異次元緩和と政府の財政運営の連携を進めてきた。超低金利下で国の歳出規模は借金に頼りながら過去最高を更新し続けた。
安倍晋三前首相は麻生氏を財務相との兼務で副総理に据えた。麻生氏は衆院解散や内閣改造など重要な局面で安倍氏の相談相手となってきた。首相経験者が副総理として入閣したのも、戦後間もない吉田内閣での幣原喜重郎氏以来だった。
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