官房長官、首相と二人三脚の「内閣の要」
「内閣の要」「首相の女房役」などと呼ばれるのが官房長官である。首相と毎日顔を合わせて二人三脚で政権運営に臨む。国会や連立与党などとの調整役を担いつつ、1日2回の記者会見もこなすため、実務能力の高さが問われるポジションだ。


歴代最長政権となった第2次政権以降の安倍内閣は菅義偉氏が一貫して官房長官を務めた。菅氏の在任日数は2016年7月、歴代1位となった。2位は森、小泉内閣の福田康夫氏、3位は吉田、佐藤内閣の保利茂氏、4位は中曽根内閣の後藤田正晴氏だった。
官房長官には首相と長年行動を共にしてきた「側近型」や政局や政策の節目で首相に進言する「参謀型」、後継者や次の世代を担う中堅・若手を抜てきする3つのパターンがある。側近型には歴代2位の長期政権を支えた保利氏や「趣味は田中角栄」が口癖だった二階堂進氏らがいる。側近型は同じ派閥の出身が多い。経験や人脈を生かして首相に進言する「参謀型」の代表格は後藤田氏だ。
菅氏はどちらかといえば「参謀型」タイプに近かった。霞が関の人事や情報を掌握して長期政権を支えた。菅氏はかつて「官房長官として政府内、関係省をしっかり連携させることが極めて大事だ」と語っていた。令和の改元発表では「令和おじさん」として知名度が急上昇した。
安倍晋三前首相が7月、月刊誌の取材に菅氏が「有力な候補の一人」と明言した際に「菅首相には菅官房長官がいないという問題がありますが」と付け加えた。新内閣の発足にあたっては「内閣の要」に誰が起用されるかは最大の関心事となった。
加藤勝信官房長官は旧大蔵省出身の政策通で、官房副長官として菅氏に仕えたこともある。自民党内では「記者会見や国会答弁を安心して任せられる」との声があがる。