幹事長、小選挙区制で権限増大 選挙と資金を一手に
自民党のトップは総裁である。ただし、約4年間の野党だった時期などを除き、総裁は首相として首相官邸に常駐する。このため党本部や国会内にいる幹事長が衆参全般の党務を差配する強い権限を持つ。


自民党の党則は「幹事長は総裁を補佐し、党務を執行する」と定める。かつての派閥全盛期に幹事長が力を振るったのは、選挙での公認権や資金、国会対策からポスト配分に至るまで権限を持ち、派閥の人数を増やし、総裁選で勝つ「数の論理」を体現できるポストだったからである。実力者で有力な首相候補でもあるとの幹事長イメージを決定づけたのは田中角栄氏だった。
1996年に1選挙区で1人しか当選できない小選挙区制になって以降は、派閥ではなく幹事長をはじめとする党本部が選挙の公認権や資金面で大きな権限を握るようになった。
安倍晋三首相は2012年に総裁へ返り咲くと、最初は総裁選を争った石破茂氏、次にリベラル派の谷垣禎一氏、ベテランで「政治技術のある」二階俊博氏と、自らとは色合いも派閥も異なる幹事長を配して党内バランスに配慮した。
二階氏の通算在任日数は9月8日に1498日と歴代1位となり、佐藤栄作首相の在任中に2度幹事長を務めた田中角栄氏を超えた。菅義偉首相は「非常に頼りになる存在」と評価していた二階氏を幹事長として再任した。