海外生産に「懲罰税」 バイデン氏、雇用維持へ過激策

米大統領選
2020/9/9 20:39 (2020/9/10 4:36更新)
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バイデン氏は選挙公約として「メード・イン・アメリカ税制」を発表した=ロイター

バイデン氏は選挙公約として「メード・イン・アメリカ税制」を発表した=ロイター

【ワシントン=河浪武史】米大統領選の民主党候補、ジョー・バイデン前副大統領は9日、米企業の国内回帰を促すため、海外生産に「懲罰税」を課す新税制案を発表した。海外生産品の米国内での収益に追加課税する異例の策で、製造業が集積する激戦州の雇用維持をアピールする狙いがある。日本企業の米国子会社などにも影響する可能性がある。

バイデン氏が発表したのは「メード・イン・アメリカ税制」。(1)海外生産に懲罰税を課す(2)企業の米国生産への税控除(3)米企業の海外子会社への税控除の縮小――が柱だ。同氏は9日、自動車産業などが集積する激戦州、ミシガンで演説する予定で、新税制案で製造業の労働者の支持を集める狙いがある。

「懲罰税」の導入は異例だ。トランプ政権は連邦法人税率を35%から21%に下げたが、バイデン氏は再び28%に引き上げる。その上で海外生産品の販売で米国内で稼いだ利益に対しては28%の1割にあたる2.8%を追加課税する。海外製品への課税は計30.8%となり、現在より10%近くも税率が重くなる。コールセンターなどサービス部門の海外委託も「懲罰税」の対象にする。

一方で、企業には「米国生産税控除」も新設する。米国内での工場を再開や雇用の積み増しなどを対象に、関連費用の10%を納税額から差し引くことができる。米国生産は人件費などがかさむリスクがあるが、大幅な税額控除で国内回帰のコストを減らす狙いだ。

バイデン氏はアマゾン・ドット・コムなど巨大IT企業の「税逃れ」も厳しく指弾してきた。そのため新税制には、企業がタックスヘイブン(租税回避地)に利益をため込むことを防ぐ措置も盛り込む。具体的に海外収益の21%分を「ミニマム税」として米国に直接納税するよう要求。バイデン陣営によると、海外収益への税率は現在の2倍に高まるという。巨大企業の課税強化は、インフラ投資などの財源に充てる狙いもある。

企業税制を巡っては、トランプ大統領も生産拠点を中国から米国に戻した企業を税優遇する「メード・イン・アメリカ減税」を発表している。11月の大統領選は、ミシガンやペンシルベニア、ウィスコンシンなど製造業が集積する激戦州が勝敗を決する。トランプ氏、バイデン氏とも名称まで似通った極めて内向きな税制を敷いて、労働者票を奪いあう。

バイデン氏の新税制は「米企業が対象」としているが、日本企業の米国子会社なども含まれる懸念がある。同氏は9日の声明文で「米製造業は新型コロナウイルスの危機前から景気後退に突入し、メキシコや中国との貿易赤字は膨れ上がっている」と強調した。新税制によって貿易不均衡の是正を目指しており、11月の大統領選が近づけば、保護主義的な姿勢がさらに強まる可能性がある。

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