福島県小名浜港の国際物流ターミナル、貨物岸壁完成へ

2020/9/9 19:02
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福島県いわき市の小名浜港で建設中の国際物流ターミナルの基幹設備である貨物岸壁が10月に完成する見通しとなった。付帯設備が整えば東北最大の資源輸入港である同港の取り扱い能力は7割拡大する。主に発電用石炭を扱い、建設中の最新鋭火力発電所への燃料供給拠点となる見通しだ。

建設が急ピッチで進む国際物流ターミナル(福島県いわき市の小名浜港)

「小名浜港東港地区」と呼ばれる人工島を中心とした港湾整備事業の一環で国と福島県が進めている。すでに約54ヘクタールの人工島と連絡橋などが完成している。

岸壁の全長は約600メートルで外洋寄りの約370メートルが暫定供用されている。10月に陸寄りの未完成部分の工事が終わり、全体が完成する。外洋側の水深は18メートルで国内の公共岸壁で最も深い。10万~15万トン級の大型ばら積み船が直接入港できる。

2021年末までにベルトコンベヤーや貨物ヤードの整備が終わる見通しで、本格稼働すれば小名浜港の貨物の取り扱い能力は現在の年間約800万トンから1300万トン強に増える。

大型船による大量輸送で資源の輸入コストを下げる「国際バルク戦略港湾」の指定を国から受けており、総投資額は1380億円にのぼる。

輸入される石炭や非鉄の鉱石は福島県内のほか、東北各地の発電所や工場に輸送される。物流ターミナルだけでなく「トラックや内航船、その関連設備の整備など幅広い経済効果が期待できる」(福島県)。

石炭の最大の供給先は東京電力が出資する広野火力発電所(福島県広野町)と常磐共同火力勿来発電所(いわき市)の敷地内に建設中の石炭ガス化複合発電(IGCC)と呼ばれる新発電所だ。

石炭をガス化し、ガスタービンと排熱を利用した蒸気タービンを組み合わせて発電する。発電効率が高く環境への負担が小さい設備で、勿来は年内、広野は21年に稼働する見通しだ。

11年の東京電力福島第1原発事故と各地の原発停止で深刻な電力不足が起きる懸念が強まった。東電は鹿島火力発電所(茨城県神栖市)や常陸那珂火力発電所(同東海村)などを増強する一方、福島県に2つの火力発電所の建設を決めた。

国際物流ターミナルには国のエネルギー安定供給政策と福島県の復興を進める狙いもある。

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