米軍の関与低下、IS対策に懸念 イラン利する効果も

2020/9/9 18:22
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【カイロ=久門武史】イラクに駐留する米軍の縮小は、中東の過激派組織「イスラム国」(IS)対策に隙を生みかねない。トランプ米政権が敵視するイランを利する皮肉な効果もある。

イラク駐留米軍は過激派組織「イスラム国」(IS)との戦いでイラクを支援してきた(イラク北部)=ロイター

イラクのカディミ首相は8月の訪米時に「ISとの戦争は終わったが、ISの残党や他のテロ組織はなお存在する」と語った。駐留米軍はIS対策の訓練などでイラクを支援し、情報や武器の提供でも役割は大きい。

カディミ政権は5月に発足したばかりだが、経済混乱や電力不足などで国民の不満がくすぶり、政権基盤はもろい。政府が新型コロナウイルス対策に忙殺されているのに乗じ、ISが攻勢を強める局面もあった。米軍削減で過激派が暗躍する余地が広がる恐れがある。

イランはイラク駐留米軍の削減にほくそ笑む。軍事的にも政治や経済でもイラクに強い影響力を持ち、米軍部隊は目障りな存在だ。イランの最高指導者ハメネイ師は7月のカディミ氏との会談で「米国は腐敗と破壊をもたらす」とし、イラク駐留米軍の追放を期待すると述べていた。

米軍は1月、イラン革命防衛隊の精鋭部隊の司令官をイラクで無人機攻撃によって殺害し、イランはイラク駐留米軍をミサイル攻撃して反撃の姿勢を示した。イラクは国交のない両国の直接衝突の舞台になりかけた。トランプ米大統領は経済制裁でイランに最大限の圧力をかけるが、自らの大統領選をにらんだ駐留米軍削減が、ハメネイ師の望みに沿う格好になる。

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