少年法18・19歳厳罰化 適用年齢20歳未満は維持へ

2020/9/9 17:02 (2020/9/9 20:27更新)
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少年法の見直しを議論している法制審議会の部会は9日、要綱案をまとめた。更生を重視する原則を維持し「20歳未満」とする適用年齢の引き下げについて結論を見送る一方、罪を犯した18、19歳を原則検察官送致(逆送)する犯罪の範囲を広げ、厳罰化する。起訴されれば18、19歳でも実名報道を可能とする方向も示した。

自民、公明両党のプロジェクトチームは7月、適用年齢について20歳未満で維持する案で合意しており、現行のまま変更されない見通し。法制審の答申を受け、法務省は少年法改正案を来年の通常国会に提出する方針。

少年法には刑罰より更生を優先する理念がある。要綱案は18、19歳には選挙権があり民法でも成年とされる半面、十分に成熟しておらず、更生の可能性があると指摘した。18歳未満や20歳以上と異なる取り扱いが必要と判断しつつも「18、19歳の位置づけや呼称は立法プロセスに委ねる」との表現にとどめ、議論を国会審議に引き継いだ。

現行法の全件家裁送致は維持する。「家裁で専門家である調査官が家庭環境や生育歴を調べることが、更生につながる」との意見を尊重した。

一方で被害者感情への配慮などから18、19歳の犯罪を一部厳罰化する。殺人罪など故意に人を死亡させた場合に限られていた原則逆送事件の対象を、罰則が1年以上の懲役または禁錮にあたる罪に広げる。強盗罪や強制性交罪などが加わる。2019年12月~20年2月に処分された18、19歳の刑法犯で試算すると、逆送の対象は3%で、現行の0.1%から大幅に増える。

将来の社会復帰を妨げないように本名や顔写真などの報道を禁じる規定も見直す。18、19歳が起訴(略式を除く)された段階で解禁する。部会では「選挙権を認められ、民法上の成年として権利を与えられている者について、実名報道を禁止することは国民や社会の理解、納得を得ることは容易ではない」との意見が出た。

■「大人」の定義、法律でばらつき
  3年以上に及ぶ法制審議会部会を経ても少年法の適用年齢の引き下げの是非は結論に至らなかった。議論を委ねられた国会審議でも引き下げは見送られる公算が大きく、「大人」の定義が各法律で異なる状態が続く。

 少年法の適用年齢を巡る議論は2015年6月、選挙権年齢を18歳以上に引き下げる改正公職選挙法成立をきっかけに始まった。法制度の整合性を図るため、同法付則には「民法、少年法についても検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」と盛り込まれた。
 民法は18年6月、成人年齢を20歳から18歳に引き下げるよう法改正された。22年4月に施行され、18、19歳は親の同意なく携帯電話やローン契約を結んだり、クレジットカードを作ったりできるようになる。
 少年法についても法務省が15年11月に勉強会を立ち上げ、17年3月から法制審部会での議論が始まった。勉強会資料によると海外186カ国のうち、フランスやカナダなど9割近くは18歳以上に少年法を適用せず成人と同様に扱う。
 年齢を巡る線引きでは健康への悪影響や依存症への懸念から飲酒や喫煙、公営ギャンブルができるのは20歳のまま据え置かれている。また「相当な責任がある」(法制審)として、養子をとることができる年齢も20歳のまま維持されている。
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