/

氷河期世代のななしさん、年収300万円から資産形成

投信ブロガー

「氷河期ブログ」を運営する関西在住の「ななし」さんは、賃貸住宅で専業主婦の妻と子どもの3人暮らしをしている40代半ばの男性会社員。大学卒業は1999年と就職氷河期の真っただ中で、非正規雇用で年収300万円の職に就かざるをえなかったが、これまで地道な投資を続け15年間で2000万円を超す金融資産を得ることができたという。

現在は正社員として技術関係の仕事をしており、年収は多少増えたものの、この間、リーマン・ショックやリストラ、会社倒産も経験。氷河期世代のななしさんに堅実な資産形成法を聞いた。

リーマン・ショックで資産額半減

――どんなきっかけで投資を始めたのですか。

「少ない給料を補うにはやはり投資しかないと考えて、05年にインド株ファンドを購入したのがきっかけです。ちょうど新興国5カ国(BRICs)への投資が盛り上がっていた頃で、とにかく人口が増え続ける新興国の株に投資しておけばもうかるはずという単純な発想でした」

「投資信託には他にも色々あるのを知り、06年以降は運用コストの低い海外株指数連動のETF(上場投信)に切り替えながら投資を続けていました。ところが、08年のリーマン・ショックで300万円程度あったリスク資産が約150万円に半減。そのうえ勤めていた会社が倒産するなどさんざんな思いをしました」

「その後、何社か転職を重ね、結婚し家族もできました。ただめげずに毎月の給料の一部を投資に回し続けたことで、リスク資産を含めた金融資産はリーマン・ショック前の4倍、2200万円ほど(20年8月末時点)にまで増えました」

ブログはほぼ毎日更新

――ブログを始めたのはいつですか。

「18年からです。ほんのお小遣い稼ぎのつもりでしたが、今ではブログが趣味のようになり、ほぼ毎日更新しています」

「給料が主な元手なので、投信の積み立て投資を基本にしていますが、ブログなどからの副業収入でETFをその都度購入しています。副業収入は月平均で数万円程度といったところです」

資産配分は気楽な「カウチポテト」風に

――金融資産の内訳はどんな感じですか。

「金融資産2200万円のうち、リスク資産が半分強で残りが現預金です。このほか、1年分くらいの生活資金と子どもの大学卒業までの学費は別に保有しています。リスク資産に対してこれまで2割くらいの利益が出ています」

「リスク資産と無リスク資産が半々というのは保守的かもしれませんが、株式相場の下落局面でもある程度強い運用ができているという印象です。下落時には資産額が減っても現金の配分比率が増えるので、増えた分を投信購入へ回すことで、安く買い付けることができるからです」

「リーマン・ショック以降、いつかやってくる相場の暴落におびえるのも面倒だし、投資し損ねたまま相場の上昇を見ているのも悔しいので、だらりとカウチソファに寝転がってポテトチップスを片手にテレビを見る『カウチポテト』風の気楽な資産配分だと思っています」

投資先の主体は米国株

――具体的な投資ファンドを教えてください。

「私が現在保有しているのは米国株ファンドが2本、ETFが7本です(図A)。ファンドのうち1本は、つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)の年40万円の非課税枠をフルに利用して毎月購入しています」

「子どもの名義でも米国株ファンドを中心に5本に投資し、うち3本は未成年向けのジュニアNISA制度を活用して購入しています」

「米国株式中心に投資しているのは、200年間にわたる米国株への投資結果を調べ上げたジェレミー・シーゲル著の『株式投資の未来』を読み、米国株投資の将来性に期待をかけていいのではないかと納得したからです」

二重課税調整でETFは国内上場にシフト

「ようやく、ずっと保有していたETFからの分配金が月平均で1万円を超えてきました。米国上場ETFの分配金にかかる現地源泉税徴収分の外国税額控除は、手続きが面倒なのでこれまで行っていません」

「国内投信が海外株に投資した際、現地での配当金にかかる源泉徴収税を一定の条件で自動的に取り戻す『二重課税調整』の制度が今年から始まったので、今後は特定口座で投資している米国株ETFは国内上場のETFにシフトしていきます」

つみたてNISAは自分への仕送り

――資産運用の出口をどのように意識していますか。

「つみたてNISAはちょうど60歳をこえるあたりで20年の非課税期間が終わりを迎えるので、換金して老後の生活費にあてる算段です。リタイアした後の生活費に使う『20年後の自分への仕送り』のようなものです。今の制度が続くとすれば80歳過ぎまで毎年お金が入ってきます。年金などにプラスして使うことを考えています」

「ETFの分配金も同じです。現在、分配金は将来の資産形成用にそのまま再投資しています。生活が苦しくなればETFを売却しますが、残った分は子どもに相続すればいいと思っています」

身銭を切って始める投資の大切さ

――若い人に何かアドバイスを。

「若い時に投資できる金額は少ないので、失敗してもリカバリーの余地は大きいです。まずは身銭を切って投資を始めるのが一番です。自分自身のリスク許容度も、暴落を実際に経験して初めてわかるような気がします」

「月々のお小遣いの20%くらいから投資を始めてみてはどうでしょうか。このくらいなら投資に回せるという金額が決まったら、全額を投資に回さず半分くらいにとどめておくと、投資初心者の方にはちょうどいい塩梅(あんばい)になると思います」

「コロナ禍が長引き、就職氷河期がまた訪れるかもしれませんが、私はそこを乗り越えて家庭もでき、低収入でも資産がそこそこ、たまりました。現実を受け止めながらも決して悲観せずに前に進むしかないと思います」

「いずれにせよ、少しずつ学びながらコツコツ投資を続け、何があっても相場に居続けることが、堅実な資産形成のコツだと思います」

(QUICK資産運用研究所 聞き手は笹倉友香子、高瀬浩)

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン