トランプ氏、イラク駐留米軍削減へ 大統領選へ成果

2020/9/9 13:00
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イラクの駐留米軍は情報収集や訓練などが主な任務(北部のキルクーク)=AP

イラクの駐留米軍は情報収集や訓練などが主な任務(北部のキルクーク)=AP

【ワシントン=中村亮】米軍は9日、イラク駐留規模を9月末までに現在の5200人から3000人に減らすことを明らかにした。11月の大統領選に向け、成果づくりを目指すトランプ大統領の意向を受けたものとみられる。イラクで力の空白が生まれれば中東情勢が一段と不安定になりかねない。

中東地域を担当するマッケンジー中央軍司令官が9日、イラクの首都バグダッドで開かれた軍関連のイベントで削減方針を説明した。米政府高官は8日、アフガニスタンについても近く発表があると語り、アフガンでも米軍の追加削減に踏み切る可能性がある。

イラク駐留米軍は過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討を目的に、イラク治安部隊の訓練や情報収集活動を主な任務とする。マッケンジー氏は9日、「駐留規模を減らしてもISの残党を撃退し永続的な勝利を確立するイラクのパートナーに助言や支援を続けられる」と強調した。

トランプ氏は8月、イラクのカディミ首相と会談し「我々がイラクにいなくてよくなる日を待ち望んでいる」と語り、米軍の駐留縮小に意欲を示した。IS掃討を確実にするため完全撤収には時間がかかる見通しだ。

駐留米軍をめぐって、米国とイラクはぎくしゃくした関係が続いてきた。米軍は1月にイランの司令官をイラクで殺害し、イランは米軍のイラク駐留拠点を弾道ミサイルで報復攻撃した。イラクでは米国とイランの対立に巻き込まれかねない、として米軍撤収を求める声が強まった。

米軍のイラク駐留の根拠の一つとなる「戦略的枠組み合意」はイラクを他国攻撃に利用してはならないとしており、イランの司令官殺害は合意に反するとの見方も強かった。トランプ政権内には米軍の存在感がイラクで薄れれば、隣国イランの影響力が増すとの懸念が強く、撤収は避けるべきだとの考えが主流だった。

トランプ氏は駐留縮小を大統領再選に向けた成果としてアピールする見通しだ。オバマ前政権は11年にイラク駐留米軍を撤収させたが、その後にIS台頭を招き、14年に軍事顧問の派遣に追い込まれた。トランプ氏はオバマ氏のイラク撤収を厳しく批判してきたが、大統領選ありきで自らも駐留削減に踏み切る。

トランプ氏は政策の基本理念である「米国第一」の象徴として海外駐留米軍の縮小を加速している。6月には駐独米軍を縮小する方針を表明した。アフガンでも同国政府と反政府武装勢力タリバンの和平対話の開始をにらみながら駐留規模の追加削減を探っている。

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