ミャンマー兵2人、欧州に移送 ロヒンギャ虐殺証言か

2020/9/9 0:37 (2020/9/9 0:55更新)
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2019年12月、オランダ・ハーグの国際司法裁判所に出廷したミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問=ロイター

2019年12月、オランダ・ハーグの国際司法裁判所に出廷したミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問=ロイター

【ヤンゴン=新田裕一】ミャンマーのイスラム系少数民族ロヒンギャに対する迫害問題を巡り、同国軍兵士2人の身柄が、国際刑事裁判所(ICC)の本部があるオランダ・ハーグに移送されたことが分かった。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)などが8日伝えた。ICCの検察官は国軍幹部の訴追を目指しており、兵士2人は国軍幹部からの命令の有無について検察側の証人となる可能性がある。

詳しい経緯は不明だが、国際人権団体フォーティファイ・ライツによると、兵士2人はミャンマー西部で国軍と戦闘を続ける武装勢力「アラカン軍」に拘束された後、8月中旬にバングラデシュに入り、同国政府によって身柄をICCに引き渡されたもようだ。

アラカン軍が7月に撮影したとみられる映像のなかで兵士2人は、上官の命令に基づき、多数のロヒンギャ住民の虐殺に関与したと告白した。

被害者のロヒンギャ住民からは、虐殺や女性に対する性的暴行について多くの証言がある。だが加害者の国軍兵士の証言はなく、今後、国際法廷での証言に応じれば国軍幹部の刑事責任を追及する動きが加速しそうだ。

ミャンマー国軍は2017年8月、ロヒンギャ系武装集団による治安施設の襲撃を契機に、ロヒンギャの人々が住む村々で掃討作戦を展開し、その結果、70万人を超すロヒンギャ難民が隣国バングラデシュに避難した。ロヒンギャの村落が焼き払われ、多数の住民が殺害されたとされる。

アウン・サン・スー・チー国家顧問は19年12月、国際司法裁判所(ICJ)に自ら出廷。国軍幹部の意に反した戦争犯罪があった可能性はあるものの、特定集団の抹殺を意図した「ジェノサイド」ではないと主張した。

一方、国連人権理事会が設置した国際調査団は18年に「ジェノサイドの疑いで国軍幹部を捜査すべきだ」とする報告書を公表した。国際人道法に反する個人の刑事責任を問うICCの検察官は19年11月、正式な捜査の着手を決めた。

ミャンマー政府は「自国の法律に基づいて国際人道法を犯した人物を処罰する」としているが、「兵士は国を守ろうとして過ちを犯した」として軍法会議の処罰内容を一切明かさないなど、透明性を欠いている。

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