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欧米製薬9社「ワクチンの安全最優先」 政治をけん制

(更新)

【ロンドン=佐竹実】新型コロナウイルスのワクチンを製造する欧米の製薬会社9社は8日、安全を最優先するとの共同声明を発表した。効果が確認されるまでは当局に承認を求めないことも申し合わせた。米国では臨床試験(治験)終了を待たずに緊急的な接種を認めることが検討されており、業界側から政治的な動きをけん制した。

トップによる共同声明を出したのは、英アストラゼネカ、米ファイザー、仏サノフィなど。(1)安全と接種する人の健康を最優先する(2)科学と倫理の高い基準を維持して臨床試験(治験)や製造をする(3)最終的な治験を終えて安全と効果が確認された場合にのみ当局に承認を求める(4)グローバルな供給体制を整える――ことを確認した。

新型コロナの世界的な感染拡大を受けて、欧米の製薬大手はワクチンの開発を急いだ。治療法や予防法が限られ、ワクチンが数少ない対策だったためだ。通常ワクチン開発には5~10年かかる中で、1年以内を目指す異例のスピードで開発や治験が進んでいる。

だが、効果や安全性が確立されていないにもかかわらず、世界でワクチンに対する期待が先行している。トランプ米政権は11月の大統領選も視野に、迅速なワクチン開発を後押しする。米食品医薬品局(FDA)は治験終了前に条件付きで投与を認める「緊急使用認可」を検討しており、政権から圧力があったことが指摘されている。

ワクチン開発競争は世界で進む。ロシアは世界に先駆け、8月に自国産のワクチンを承認。中国と同様、早期に開発・製造して新興国に提供することで影響力を強めようとしている。フィリピンで10月から始まる同ワクチンの治験はロシアが資金を拠出する。治験終了前に政府が承認したことには批判の声もある。

今回の欧米製薬会社の共同声明は、こうした世界の動きに業界側からくぎを刺す意味合いがある。ワクチンは予防や重症化を防ぐ効果が期待されるが万能ではなく、過度な期待で安全性が後回しになれば、むしろ悪影響を及ぼしかねない。

声明に参加した他の6社は、英グラクソ・スミスクライン(GSK)、独ビオンテック、米ジョンソン・エンド・ジョンソン、米メルク、米モデルナ、米ノババックス。

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