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「分散避難」浮かんだ課題 満室ホテル相次ぐ

(更新)
避難したホテルのロビーで2人の息子と過ごす女性(6日午前11時35分、鹿児島県奄美市)=共同

今回の台風10号では、新型コロナウイルス対策として避難所の密を避けるため、ホテルや親戚・知人宅、安全な自宅などに分散して避難する「分散避難」が初めて大規模に実施された。各地でホテルの満室が相次ぐ一方、避難先の事前検討や在宅避難を想定した食料の備蓄などの課題も浮かび上がった。

鹿児島県奄美市の一野初子さん(62)は台風接近前の5日、家族6人で「ホテルビッグマリン奄美」に避難した。自宅近くに避難所の体育館があるが、川が近い不安や感染リスクなどから次女が提案した。「停電もなく食事も提供され、安心感があった」と話す。

内閣府は4月、コロナ下の避難の在り方として、ホテルや親戚・知人宅、安全な自宅などを含む分散避難を検討するよう通知した。コロナ対策で避難所の収容人数を減らしている各自治体は今回、住民に分散避難を繰り返し呼びかけた。

台風10号がかつてない勢力で襲来するとの予測や、政府の観光支援事業「Go To トラベル」の割引適用もあり、各地のホテルには宿泊予約が殺到した。

市内全域に避難指示が出た長崎県五島市の「ビジネスホテル三国」は5~7日、全17室が満室になった。担当者は「台風9号では数人程度だったが、今回は警戒感が高かった」と振り返る。

満室でホテルを利用できない人も多かった。避難所となった市勤労福祉センターには「ホテルに電話しても満室だったので来た」と話す住民が目立ったという。

ホテル避難は経済的な負担が生じる。国は自治体が避難のため宿泊施設を1棟借り上げた場合の補助制度を用意しているが、避難者個人への補助制度はない。

愛媛県宇和島市は5月、避難者の宿泊費補助制度を創設。避難対象の警戒区域に住む75歳以上の高齢者や障害者、乳児を抱える保護者らに1泊5600円を上限に補助する。ただ担当者は「コロナ収束後も継続したいが、市の財政状況もありわからない」と話す。

今回は親戚・知人宅への避難も相当数に上ったとみられる。福岡県東峰村は安全な立地にある民家60軒を一時避難先に指定し、親戚や知人宅への避難を推奨してきた。

19世帯が住む同村蔵貫地区は高齢の6世帯が5日時点で親戚宅などに避難した。区長の高倉美紀恵さんは「親戚といえども受け入れ準備があり、打ち合わせができていないと急に対応するのは難しい」と振り返った。

東京大大学院・片田敏孝特任教授(災害社会工学)は「避難は自らの避難先を自分で決める分散避難が原則だと住民側も意識を変える必要がある」と指摘。避難先は(1)安全な自宅の2階に避難する在宅避難(2)知人宅やホテルなどの自宅外避難(3)すべてがかなわなければ避難所――の順で考えるべきだと話している。

在宅避難の場合は備蓄も欠かせない。内閣府は3日分の飲料水や非常食、生活必需品などの備蓄を呼びかけ、大規模災害には1週間分が望ましいとしている。

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