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育休中に次の子を妊娠 取るのは育休か、産休か?

人生100年時代のキャリアとワークスタイル

育休中に妊娠したらどうなる?(写真はイメージ=PIXTA)

第1子の育児休業中に、第2子を妊娠されるようなケースが時々あります。このような場合、重複する期間は、第1子の育休と第2子の産休、いったいどちらになるのでしょうか。少々複雑な話ですが、こうした休業の考え方は、社会保険料の免除や給付金とも関連するので、ご本人や会社において、きちんと制度を理解しておくようにしましょう。

意外と知られていない産休と育休期間

産休と育休、どちらも同じ意味だと思っている人は少なくありませんが、それぞれ趣旨も違えば、規定されている法律も異なります。

まず、産休には、「産前休業」と「産後休業」があります(労働基準法65条1項、2項)。産前休業は、出産予定の労働者が出産予定日の6週間(双子以上の場合は14週間)前から事業主に請求することによって与えられるもので、従業員の請求ベースとなります。

そのため、本人の体調も良く出産直前まで働こうと思えば、働くことは可能です。なお、出産日当日は、「産前期間」となります。

これに対して産後休業は、労働者の請求の有無にかかわらず、使用者は出産の翌日から8週間は働かせてはいけないことになっています。つまり、強制的な休業となります。ただし、産後6週間を経過して、本人の働きたいという希望があり、医師もその業務を認める場合は、働くことができます。

この産前・産後休業については、出産する女性であれば、雇用形態に関係なく、誰でも取ることができます。

一方、育児休業とは、育児・介護休業法(正式には「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といいます)に定められており、男女労働者が子の養育のために、原則として子が1歳に達するまでの希望する期間について取得することができます。ただし、期間の定めのある労働契約で働いている場合や対象外とする人を定めた労使協定がある場合については、会社によって要件が限られている場合もあります。

なお、保育園に入れない場合など一定の理由がある場合については、法律上は最長で子が2歳に達するまで延長することが可能です。会社によっては3歳までという場合もあるでしょう。このため、第1子の育休中に第2子の妊娠期間が重なるケースは、それほど多いわけではありませんがありえます。

産休・育休中の社会保険料と給付金

次に社会保険(健康保険・厚生年金保険)の保険料について見てみましょう。

産前・産後休業期間、具体的には「産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間」について、事業主の申し出により、被保険者分及び事業主分とも免除されます。

また、満3歳未満の子を養育するための育児休業等(育児休業及び育児休業に準じる休業)期間についても同様に、事業主の申し出により、被保険者分及び事業主分とも免除されます。

いずれも手続きを怠ってしまうと、免除は受けられません。それぞれの休業期間が始まったら速やかに日本年金機構と加入している健康保険組合に申し出を行うようにしたいところです。

ところで、産休や育休中は、給与が支給されないことが多いものです。被保険者の生活を守るために、これらの期間については、健康保険や雇用保険から給付金制度があります。

まず、健康保険の「出産手当金」については、出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象に請求することが可能です。

育児休業中は、一定の要件に該当する場合に、雇用保険から「育児休業給付金」を申請することができます。育休期間の最初180日間は、休業開始時賃金の67%、181日目以降は50%の給付率となります。なお、育児・介護休業法に基づき、一定の延長理由に該当する場合に限り、最長で子が2歳になるまで育児休業給付金を延長することができます。

次の子の妊娠は、いつから産休になるか

それでは、第1子の育児休業中に、第2子を妊娠した場合は、いったいどうなるのでしょうか?

第2子の産前休業を、出産予定日の6週間前から申請することは可能です。ただ、上述したとおり、産前休業は本人の請求ベースとなります。

仮に、第2子の産前休業を請求しなかった場合、産後休業が開始される前日(出産日)に、第1子の育児休業は終了することとなります。

いずれのタイミングにおいても、産休か育休かの違いはあるにせよ、社会保険料の免除は受けられます。

申し出のタイミングで注意したいのは、給付金です。

出産手当金については、第2子の出産前に取得している休業が、第1子に係る育児休業等であるか、第2子に係る産前休業であるかを問わず、出産手当金の支給要件を満たしていれば、被保険者からの申請に基づき支給されます。

これは盲点ともいえるでしょう。なぜなら、一般には出産手当金は産休期間を対象として受けられるものだと考えられているからです。しかし、支給要件は、産前産後の一定期間内で仕事を休んだ期間となるため、第1子の育休中であっても、支給要件を満たしていれば申請できることになります。

それでは、育児休業給付金はどうなるでしょうか。

こちらは、あくまでも育児・介護休業法に基づく育児休業の期間が対象となります。そのため、第2子の産前休業を請求すれば、その産休開始の前日までが育児休業給付金の対象となります。

一方、第2子の産前休業を請求せず、第1子の育休期間が続いているとすれば、出産日の当日までの間、第1子の育児休業給付金の申請が可能といえます。

つまり、第2子の産前休業は請求せずに、出産日の翌日から産後休業が始まる場合、第1子の育児休業給付金と第2子の出産手当金の併給が部分的に可能となります。

このように、法律上の解釈においては、第1子の育児休業給付金と第2子の出産手当金を同時に受けられる場合もありえます。どちらかと言えば特異なケースであり、産前・産後休業と育児休業を同時に取れるわけではありません。

こうした違いをよく理解したうえで、次のお子さんの産休・育休申し出のタイミングについては、検討されるとよいでしょう。

佐佐木由美子
人事労務コンサルタント・社会保険労務士。中央大学大学院戦略経営研究科修了(MBA)。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所などに勤務。2005年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開設し、現在に至る。女性の雇用問題に力を注ぎ、働く女性のための情報共有サロン「サロン・ド・グレース」を主宰。著書に「採用と雇用するときの労務管理と社会保険の手続きがまるごとわかる本」をはじめ、新聞・雑誌などで活躍。

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