ベラルーシ反体制派、国境で拘束 国外退去に抵抗か
【モスクワ=小川知世】独裁的なルカシェンコ大統領への抗議が続くベラルーシで、反体制派幹部のコレスニコワ氏が隣国ウクライナとの国境付近で当局に拘束されたことが8日、分かった。政権は抗議の収束に向けて反体制派の中心人物に国外退去を迫っており、抵抗した同氏を拘束した可能性がある。
国営通信ベルタなど複数のメディアが国境警備当局の話として報じた。
コレスニコワ氏は反体制派と市民代表が政権交代に向けて組織した「調整評議会」のメンバーで、国内に残る反体制派の代表的な存在だった。
独立系メディアによると、コレスニコワ氏は7日午前に首都ミンスクで、覆面を付けた男らに車両に押し込まれて拉致されるのを目撃された。同氏や調整評議会の関係者ら計3人が音信不通となり、当局が拘束したとの見方が強まっていた。
ベラルーシ当局によると、3人は8日早朝に国境地帯に車で現れた。国境警備隊がコレスニコワ氏を拘束し、残る2人はウクライナに出国した。同国の内務次官は8日、3人が強制的に出国を迫られたとフェイスブックで説明した。インタファクス通信は情報筋の話として、コレスニコワ氏がパスポートを破って出国を拒否したと伝えた。
同国では8月9日の大統領選以降、ルカシェンコ氏の退陣を求める抗議が続く。政権は反体制派の中心人物に圧力をかけ、排除を試みてきた。
大統領選でルカシェンコ氏と争った反体制派のチハノフスカヤ氏は選挙後にリトアニアへ出国を余儀なくされた。調整評議会の別の幹部もポーランドに出国した。出国しなければ長期にわたって投獄すると脅されたという。コレスニコワ氏は圧力を受けても国内にとどまる意向を示していた。
欧州は懸念を強めている。欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は7日「当局が一段と無法なやり方で市民を脅し続けている」と非難声明を出した。独英外相もコレスニコワ氏らの安全の確保を訴えた。政権はロシアを後ろ盾に抗議への圧力を再び強めており、強硬姿勢を崩す兆しは見えないままだ。