アマゾン、イベントでクラウドの変化対応力を強調

2020/9/8 18:31
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米アマゾン・ドット・コムの子会社でクラウドを手掛けるアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の日本法人は8日、年次イベント「AWSサミット」を初めてオンラインで開催した。新型コロナウイルス禍による経営環境の激変や顧客企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を背景に、変化に強いというクラウドの特徴を強調したイベントとなった。

AWS日本法人の長崎忠雄社長はクラウドの利点を強調した

米アマゾン・ドット・コムのヴァーナー・ボーガス最高技術責任者

「クラウドの真価は外部環境の変化に柔軟に対応できることだ。企業は顧客への価値提供に集中できる」。AWS日本法人の長崎忠雄社長はオンラインイベントの基調講演で、こう述べた。

千葉市で昨年開いたイベントでは世界で4000以上の公共機関が使う実績をアピールするなど、公共分野の顧客開拓に重点を置く姿勢を打ち出していた。今回は対照的に、特定の市場や技術分野よりもクラウドの基本特性である変化対応力を強調する内容だった。

続いて登壇したアマゾンのヴァーナー・ボーガス最高技術責任者の講演も同様だ。英国のメディア企業など海外の事例を紹介し「環境の変化に応じて柔軟にシステムを拡張させるニーズが高まっている」と述べた。

AWSが原点回帰ともいえるメッセージを打ち出したのは多くの企業が2つの大きな変化に直面し、クラウドの基本的な特徴が顧客のニーズに合うとみているためだ。

変化の1つは働く場所を問わない高い生産性の実現だ。新型コロナの感染を防ぐため、国内で多くの企業が在宅勤務の環境整備に追われた。

従業員が自宅から社内システムへ安全に接続する環境を自前で築くにはVPN(仮想私設網)機器と呼ばれる装置などが必要になる。しかし多くの企業が一斉に調達しようとしたために必要な量を確保できず、業務が停滞する場合もあった。

これに関して長崎社長は塩野義製薬の事例を紹介した。VPNの環境を貸し出すAWSのサービスを活用し、3000人規模の環境を3日間で整えられたという。

2つめの変化はデジタル技術で新規事業を生み出したり業務プロセスを変革したりするDXの登場だ。「新規事業を立ち上げる際に、まず小規模で始め、ニーズの高まりに応じて柔軟にシステムを拡張できるクラウドの特徴が生きる」。長崎社長はこう強調した。

象徴的な事例としてソニーの電気自動車「VISION-S」やトヨタ自動車のコネクテッドカー(つながるクルマ)事業を挙げた。ともに自動車のセンサーから収集するデータの収集・分析基盤にAWSを採用したという。快適な乗り心地の自動運転車や次世代交通サービス「MaaS」の実現にクラウドが貢献できると説明している。

変化に強いインフラとしての特徴を打ち出す姿勢は約150種類の講演など、イベント全体で鮮明にした。住信SBIネット銀行による人工知能(AI)を活用した住宅ローン審査や計測機器のタニタ(東京・板橋)が展開するアルコール検査事業での活用例など、幅広く盛り込んでいる。

イベントは9月末まで開く予定。世界中どこからでも簡単に参加できるオンラインの特徴を生かし、幅広い顧客にクラウドの利点を訴えていく構えだ。

(島津忠承)

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