越ホアファット 第3高炉を稼働 21年に同国最大手へ
【ハノイ=大西智也】ベトナム鉄鋼大手のホアファット・グループは中部クアンガイ省で第3高炉を稼働した。粗鋼年産能力は120万トン規模で約5割増えた。2021年初めには第4高炉も稼働させる方針。予定通りに生産が始まれば、既存設備も合わせてベトナム最大手の鉄鋼メーカーとなる。

同社は同省で19年に高炉一貫製鉄所の稼働を始めた。全体の投資額は3千億円規模。既に2つの高炉で生産を始めており、8月末に第3高炉が稼働したことで工場の粗鋼生産能力は年360万トンになった。年初めに新型コロナウイルスの発生による鉄鋼需要の落ち込みを受け、稼働時期を探っていた。
第3高炉の稼働に合わせ、9月末に自動車や家電など幅広い用途に使う熱延コイルの生産も始める予定。4基の高炉がすべて稼働すれば、既存施設も含めたグループ全体の粗鋼年産能力は800万トン規模となり、台湾系でベトナム鉄鋼最大手のフォルモサ・ハティン・スチール(FHS)の生産規模を超える一大メーカーとなる。
新型コロナの影響で世界的な景気低迷のさなか、ホアファットの8月の鉄鋼製品の販売量は前年同月比65%増の約50万トンになった。20年も国内総生産(GDP)でプラス成長を維持する見通しである国内向けが堅調のほか、日本や韓国、東南アジアへの輸出が増えているという。
ベトナムの鉄鋼市場は生産、消費面でともに東南アジア最大だ。より安価な中国鋼材の流入懸念はあるものの、空港や都市鉄道などインフラ投資向けや、外国企業による製造拠点の新増設といった需要が当面見込めそうだ。
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