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コロナ越え東京へ 五輪・パラ米英2選手に聞く

2020/9/10 2:00
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東京五輪・パラリンピックを延期に追い込んだ新型コロナウイルスの感染拡大は外出制限や選考会の延期などを通じ、アスリートたちの日常も大きく揺さぶった。2021年の夏に備える、米英2選手に取り組みを聞いた。

医師との二足のわらじを履くキム・デイベル=国際卓球連盟提供

医師との二足のわらじを履くキム・デイベル=国際卓球連盟提供

■医師発奮、準備も怠らず 英パラ卓球 キム・デイベル

ロンドン北部にあるウィッティントン病院。新型コロナウイルスによる肺炎などの患者対応に忙殺される医師キム・デイベル(28)は、自分に言い聞かせる。「できることは酸素吸入など限られるが、いずれワクチンによって状況は良くなるはずだ」

片側の胸筋の欠損や手の発育不良がある「ポーランド症候群」を生まれつき持つデイベルは、卓球男子のパラリンピック英代表候補でもある。医師と二足のわらじを履くきっかけは16歳での代表チーム入り。けがなどで体が不自由な仲間に接し、「彼らの命を救い、世界の舞台に導いたのは医療だ」と気づき、医師を目指し猛勉強した。

東京五輪・パラリンピックの延期が決まった3月下旬、英国では新型コロナの感染が急拡大し、大規模なロックダウン(都市封鎖)に突入した。大会に向けた練習を諦め、医師としての仕事に専念することを決めた。1日12時間勤務や夜勤が続くが、「こういう時のためにこそ我々医療従事者がいる」と奮い立たせる。

チームの練習が再開しても、「患者に接する自分は周囲を感染させてしまうかもしれない」との不安は残る。それでも、21年に大会が開かれるのであればそこに向けて準備を怠らないつもりだ。障害者を含めて多くの人に夢を与える最高の場所と信じるからだ。

「子どもたちが1人でも、医師かアスリートを目指してくれれば」。苦難の分だけ、21年はより特別な大会になると信じている。

Kim Daybell 1992年、英中部シェフィールドに生まれ、9歳で卓球を始める。2012年ロンドン、16年リオデジャネイロのパラリンピック英代表。

(ロンドン=佐竹実)

◇   ◇   ◇

練習が困難だった3月、バスタブに洗剤を垂らしてランニングマシン代わりにしようとするちゃめっ気たっぷりの動画を公開したポール・チェリモ=Xendurance提供

練習が困難だった3月、バスタブに洗剤を垂らしてランニングマシン代わりにしようとするちゃめっ気たっぷりの動画を公開したポール・チェリモ=Xendurance提供

■癒す動画、憎しみより愛 米陸上5000m ポール・チェリモ

ロッキー山脈に抱かれた米西部コロラド州コロラドスプリングス。リオデジャネイロ五輪陸上男子5000メートルで銀メダルを獲得した、ポール・チェリモ(29)は連日、険しい坂道でのトレーニングに励んでいる。

「速度を上げる力は簡単に身につく。大切なのは持久力の維持だ」。東京五輪の1年延期を受け「引退の時期に近づいてしまう」とコンディション作りへの不安を感じながらも練習に打ち込む。すべては「金メダルを持ち帰る」ためだ。

新型コロナウイルスの感染者数が世界最多の米国では、厳しい外出制限が行われた。練習が困難だった3月、バスタブに洗剤を垂らしてランニングマシン代わりにしようとするちゃめっ気たっぷりの動画を公開、封鎖生活を送る人々にユーモアを届けた。

チェリモは多数の有力マラソン選手を輩出してきたケニア西部イテンの出身だ。「学業と陸上」の両方を追求するため、スポーツ推薦枠のある米国の大学に留学し、公衆衛生を学んだ。その後、陸軍に入隊し米国籍を取得した。

米国では、白人警官による黒人男性への暴行死事件をきっかけに人種差別撤廃を求める大きな社会のうねりが起きている。2つの国を背負って走る2度目の五輪へ。「憎しみではなく、ただ愛だけを伝えたい」と力を込める。

Paul Chelimo 1990年ケニア生まれ。2014年に米陸軍に入隊し、その後米国籍を取得した。16年リオデジャネイロ五輪で陸上男子5000メートル銀メダル。

(ニューヨーク=吉田圭織)

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■新興国、準備手探り 難しい練習場確保、強化遅れる競技も
 新型コロナウイルス禍で選考日程の変更など環境の変化に悩む選手も多い。特に新興国ではトレーニング場所の確保もままならず、手探りでの準備を強いられている。
 重量挙げでは、4月にモーリシャスで予定されていたアフリカの予選大会が6月、8月と繰り延べを余儀なくされた末、さらに11月へと再延期された。
 バドミントン世界選手権女王のシンドゥ・プサルラ(インド)ら8人は国内で強化練習を計画するが、感染者発生で4人しか集まっていない。ブラジル五輪委員会は柔道や体操などのメダル有望競技に限って選手を欧州に送り込むが、ほかの競技では強化の遅れが問題となっている。
 パラリンピック砲丸投げ男子銅メダリストのタイロン・ピレー(南アフリカ)はトレーニング場が閉鎖され、自宅のジムで鍛える日々を強いられた。射撃女子エアピストルのアレハンドラ・サバラ(メキシコ)はバーチャルの機械や空砲で訓練を重ねている。
(サンパウロ=外山尚之)

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