英裁判所、アサンジ被告の身柄引き渡し審議を再開
【ロンドン=佐竹実】英国の裁判所は7日、内部告発サイト「ウィキリークス」の創設者ジュリアン・アサンジ被告の身柄を米国に引き渡すかどうかの2回目の審理を始めた。5月に予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大で開催できていなかった。3~4週間続き、裁判所が決定を出す見通しだ。

米司法省は、米政府のコンピューターに侵入して機密情報を漏らしたなどとして同被告を起訴。身柄引き渡しを求めた。英内務省は2019年に米国の要請を受け入れ、裁判所に判断を委ねた。同被告は20近い罪状で起訴されており、禁錮175年が言い渡される可能性がある。
アサンジ被告は10年、ウィキリークスでイラクやアフガニスタンでの軍事作戦に関する機密文書を公開した。その後、スウェーデン滞在時の性的暴行容疑(後に捜査打ち切り)で英国で逮捕され、保釈中の12年に在英エクアドル大使館に亡命したが、19年に英警察が再び逮捕していた。
英国内では報道の自由の観点から身柄引き渡しに否定的な声も少なくない。英国政府はこれまで、犯罪者の身柄引き渡しの要求があった場合でも、拷問や死刑となる恐れがある場合などには応じていない。