内需、リーマン超す打撃 景気「悪化」最長12カ月

2020/9/7 20:30
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景気の低迷が長引いている。内閣府が7日発表した7月の景気動向指数に基づく景気判断は、12カ月連続で「悪化」を示した。「悪化」期間はリーマン危機前後の11カ月を上回り、過去最長を更新した。コロナショックはリーマン時に比べ、消費など内需まで急減したのが特徴。足元で輸出や生産は持ち直しつつあるが、深刻さの度合いは大きい。

7月の景気動向指数(速報値、2015年=100)は景気の現状を示す一致指数が前月から1.8ポイント上昇し、76.2となった。新型コロナウイルス感染症に伴う政府の緊急事態宣言が出ていた5月を底に、6月以降2カ月連続で上向いたが、水準はなお低い。3~5月の落ち込みの2割程度しか回復していない。

一致指数は生産や消費、雇用などに関わる10種類の統計から算出する。足元の景況感をつかめるとされ、内閣府はこの指数の動きから機械的に景気の方向感を把握している。「悪化」の判断は5段階のうち最も低い区分となる。

これまで、「悪化」が連続する期間はリーマン・ショックを挟んだ08年6月から09年4月までの11カ月が最長だった。今回は19年8月から12カ月間続き、過去最長を更新した。

今回の悪化判断の起点は昨年夏。国内の景気はコロナ禍に直面する前から低迷期にさしかかっていたことがわかる。第一生命経済研究所の新家義貴氏は「米中貿易摩擦と消費税率引き上げに、今年に入って新型コロナが加わった。複数のショックが続いて起こり、景気の悪化がリーマン時より長引いた」と指摘する。

リーマン時に比べ、今回のほうが景気の弱さは際立つ。一致指数の水準をみると、08年6月の102.1に対し、19年8月は98.4。この時点で景況感判断の目安である100を割り込んでいた。輸出や生産に関する指標は18年初めをピークに低下傾向にあり、内閣府の景気動向指数は19年3~4月にも一時「悪化」判断を示した。

リーマン時は外需が低迷し、金融業の不振が経済を落ち込ませた。コロナの影響があきらかになった今年3月以降、日本は輸出や生産に加え、個人消費も急減した。小売販売額は前年同月比で4月に13.9%減、5月に12.5%減と2カ月連続で2桁減となった。リーマン時には最大でも5%程度の落ち込みだった。

コロナショックで外需・内需が総崩れとなった結果、今年4月に一致指数は前月比10.5ポイント低下し、低下幅は比較可能な1985年1月以降で最大となった。

今後の回復も見通しにくい。7月は一致指数の算出に使う8項目のうち、4項目が指数のプラスに寄与した。海外経済の持ち直しで輸出が底打ちし、自動車を中心に生産活動が上向いた。特に米国向けの自動車輸出が増え、鉱工業生産や輸出数量指数の改善につながった。

一方、有効求人倍率や小売販売額など4項目は前月を下回り、指数改善に歯止めをかける格好になった。コロナ再拡大の懸念が消費者心理を冷やし、長雨など天候不順もマイナスに働いた。8月の旅行も例年より低調。内需関連の回復は足踏みが目立つ。

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