インド、地方発の感染爆発 ブラジル抜き世界2位に
コロナ 世界は今(2)

ルポ迫真
新型コロナ
南西ア・オセアニア
2020/9/7 23:00
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失職して帰郷する大量の出稼ぎ労働者(5月、インド西部のアーメダバード)=ロイター

失職して帰郷する大量の出稼ぎ労働者(5月、インド西部のアーメダバード)=ロイター

インドの商都ムンバイ。出稼ぎ労働者のアビシュク・ミシュラは故郷の北部に帰ることを決めた。新型コロナウイルス感染抑制のための都市封鎖で仕事を失ったのだ。食糧配給を頼りになんとか2カ月は借家に閉じこもったが、「もう限界だ」。

世界で進められた都市封鎖だが、インドでは違った結果になった。出稼ぎ労働者の帰郷で、人口の7割が住む地方へ感染が広まった。直近では1日の新規感染者は9万人を超える。爆発的な増え方で累積感染者数は7日、420万人に達した。米ジョンズ・ホプキンス大の集計でブラジルを抜き世界2位だ。

「2カ月前、感染者はゼロだった。それが今では両親と弟も感染した」。国内でも最も貧しい地域の一つとされる東部ビハール州で農業を営むデブ・クマールは嘆く。地域に病院は1つだけ。「自分もいつ感染するか」とおびえる毎日だ。

6月までムンバイがあるマハラシュトラ州と首都のあるデリー首都圏の感染者数が突出したが、最近は南東部アンドラプラデシュ州や南部カルナタカ州、北部ウッタルプラデシュ州が多い。感染の主役は完全に地方だ。印メディアは8月の新規感染は94%が地方と推計する。

「また明日から封鎖か」。北部ハリヤナ州では8月下旬、突然の再封鎖が発表された。再開していた飲食店などが週末に閉鎖されることになったのだ。東部ウエストベンガル州でも9月に導入されるなど、州政府は独自に封鎖に踏み切り始めた。

しかし効果は上がらない。ビハール州の40代女性は「6月から何の支援もない」と不満を漏らす。政府は5月、総額20兆ルピー(約28兆円)の経済対策を発表したが、大規模対策は1度きり。食糧配給などの支援は不十分で、働きに出るしかない。都市に比べれば医療体制は脆弱で、マスクや手洗いの重要性など感染防止に関する情報も少ない地方での感染は止まらない。

景気は深刻な落ち込みをみせている。4~6月期の実質成長率は前年同期比23.9%減と過去最悪となった。世界の主要国の中でも下落幅が大きい。6月から経済活動再開に踏み切ったが、感染者の発生で操業が停止する工場も相次いでいる。

「(11月中旬のヒンズー教の大祭)ディワリまでには感染も下火になるだろう」。保健・家族福祉相のバルダンは余裕を見せるが収束は見通せず、成長率は当面、マイナスが続くとの見方も出ている。(敬称略)

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