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ミラーレス元祖のパナ、フルサイズ機で巻き返しの難路

「LUMIX S5」は既存の上位機種に比べて小型・軽量を実現した
日経ビジネス電子版

パナソニックは3日、「フルサイズ」と呼ばれる大型の画像センサーを搭載するレンズ交換式デジタルカメラ「LUMIX S5」を発表した。レンズ交換式カメラを小型・軽量にできるミラーレス構造を採用したカメラを2008年に初めて製品化した「元祖」のパナソニックだが、参入が遅れたフルサイズのミラーレス機では劣勢が続く。

ただでさえスマホに押されて市場が縮小してきたデジタルカメラ。そこに新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけた。イベントや外出の自粛で消費者の撮影機会が減少し、東京五輪・パラリンピックで需要を喚起しようというカメラメーカーの思惑も外れた。カメラ映像機器工業会(CIPA)の最新の統計によれば、20年1~7月のデジタルカメラ出荷額は前年同期比44.3%減の1800億円。そのうち、比較的堅調だったミラーレス機も出荷額が37.4%減の922億円に落ち込んだ。

パナソニックのカメラ事業の業績も低迷している。個別の業績は非開示だが、関係者によれば数年連続で赤字が続いているようだ。販売台数が少なくても高付加価値で利益を得やすいフルサイズのミラーレス機にかける期待は大きい。

ソニーから6年遅れで参入

パナソニックがフルサイズのミラーレス機を初めて発売したのは19年3月。ソニーが世界初のフルサイズミラーレス機で市場を開拓してから6年後のことだった。調査会社BCNによると、フルサイズのミラーレス機の国内販売台数で、パナソニックのシェアは19年4月以降2%未満で推移しているという。この市場ではソニーが5割以上のシェアを誇り、キヤノンニコン、シグマが続く状況だ。参入時に「自信を持って送り出す」(パナソニックアプラインス社の渕上英巳副社長=当時)としていたが、まだ存在感を発揮できたとは言えない状況だ。

今回発表した「S5」は本体の市場想定価格が24万円前後と、昨年発売した上位機種である「S1」より価格を2~3割下げた機種だ。「小型化と軽量化をしながら、上位機種に迫る高画質を実現した」(担当者)という。

期待するのは動画製作需要の広がりだ。「YouTuber(ユーチューバー)のほか、ピアノやヨガの先生がきれいな動画を撮影しようとレンズ交換式カメラを購入するケースが増えている」(パナソニックの担当者)からだ。「長年、映画やテレビなどのプロ向けカメラを手掛けてきたノウハウを詰め込んだ」(同)として、動きのある激しいシーンでも滑らかな映像を撮影できるといった動画撮影性能を訴求していく考えだ。

とはいえ、動画撮影性能の強化に動くのは競合メーカーも同じ。パナソニックも楽観視はしておらず、想定する月間生産台数も1500台と控えめだ。国内メーカーによる7月のミラーレスカメラの生産台数が22万台だったことを考慮すると、昨年の参入時に掲げた「(フルサイズのミラーレス機の市場で)21年度に世界シェア10%」という目標の達成は簡単ではなさそうだ。

パナソニックが生み出した、カメラ内のミラーをなくした小型のレンズ交換式カメラ。その初号機で採用した画像センサーの規格「マイクロフォーサーズ」を共同開発したオリンパスは、カメラ事業を日本産業パートナーズに譲渡する手続きを進めている。市場の縮小に、先行する競合メーカーの壁。パナソニックがカメラ事業で巻き返す道は険しい。

(日経ビジネス 中山玲子)

[日経ビジネス電子版 2020年9月4日の記事を再構成]

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