中国の南シナ海「支配」に温度差 東南ア閣僚会議
9日から関連会合、オンラインで

2020/9/6 18:09
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トランプ米大統領(左)と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席=ロイター

トランプ米大統領(左)と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席=ロイター

【ハノイ=大西智也】9日に始まる東南アジア諸国連合(ASEAN)と関係国・地域の会合は、南シナ海を巡る米国と中国の「対決」が軸になる。米国はASEANに対中包囲網への参加を求めるが、加盟国には温度差がある。新型コロナウイルスのワクチン供与、景気てこ入れ支援を中国に期待する国も多い。

会合はいずれもベトナムが主催し、オンラインで開催。最終日の12日には日本や北朝鮮を含む27カ国・機構がアジア太平洋の安全保障を話し合うASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議を開く。当初7月末ごろを予定したが、新型コロナの影響で延期していた。

南シナ海での軍事施設建設など中国の実効支配を食い止めたい米国は、ASEANへの働きかけに積極的だ。米国務省は日程公表前の2日、ポンペオ国務長官の参加をいち早く表明した。

トランプ米政権は南シナ海の海洋権益を巡る中国の主張を「違法」と断定し、同海域の軍事拠点化に関わる中国企業を制裁対象に指定した。

中国からは王毅(ワン・イー)外相が出席する見通し。同国で開発が進む新型コロナワクチンの供与やインフラ向け投融資で東南アジア諸国の歓心を買い、南シナ海の実効支配を固める戦略だ。

南シナ海を巡る米中の緊張は高まる。7月以降、それぞれ同海域で軍事演習を実施。8月26日に中国が南シナ海に向けて発射した中距離弾道ミサイル4発は、グアムを射程に収める。米中にとって東南アジア諸国を自国の陣営に加えられれば、軍事を含めた戦略上の選択肢が広がる。

米国の秋波を受けるASEAN側の対応は国ごとに異なる。

マレーシアは7月末、中国の主張を「国際法上、根拠がない」と否定する書簡をグテレス国連事務総長に送った。反発した中国は外交トップ、楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員のマレーシア訪問を取りやめた。対中強硬派のベトナムは12日のARFの議長声明に中国の「力の行使」への非難を盛り込みたい構えのようだ。

一方、中国から多額の投融資を受け入れるカンボジア、ミャンマーなどは対中批判を控えているようだ。ASEANでも開発が遅れるラオス、ミャンマーの貿易額の対中比率は2019年、いずれも3割を超えた。

中国はワクチンも外交に積極活用する。中国メディアによると同国の李克強(リー・クォーチャン)首相は8月24日、タイ、ミャンマーなどメコン川流域5カ国にも優先提供すると指摘した。習近平(シー・ジンピン)国家主席はインドネシアのジョコ大統領と8月31日に電話協議し、開発や生産で協力を約束した。

こうした中国の「実利外交」を米国は評価しない。デビッド・スティルウェル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は3日、法の統治や主権尊重、透明性をあげて「これらこそが米国と同志(の国)が共有する考え方だ」と語り、ASEANに中国離れを促した。だが目に見える利益を提供しない米国に懐疑的な東南アジア諸国は多い。

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