ロシアの新型コロナワクチンに効果 英誌が論文
(更新)

【ロンドン=佐竹実】英医学誌ランセットは4日、ロシアによる新型コロナウイルスワクチンの初期的な臨床試験(治験)で、抗体をつくる効果を確認したとする論文を発表した。ロシア政府は世界に先駆け、8月に自国産のワクチンを承認した。中国と同様、新興国に提供することで影響力を強める思惑がある。
今回の治験は、ロシアの2つの病院で6月から8月にかけて行った。健康な男女18~60歳の76人に対してワクチンを投与したところ、全ての人の体内に抗体を作ることが確認された。深刻な副反応などは見られなかった。論文は「ワクチンは強い免疫反応を誘発するが、効果を確認するためにはさらなる調査が必要だ」としている。
ロシアはモスクワの国立ガマレヤ疫学・微生物学研究所が国防省と開発したワクチンについて、旧ソ連が米国に先駆けて打ち上げに成功した人工衛星にちなみ「スプートニクV」と名付けた。治験を終える前に承認したこともあり、安全性への疑問が出ていた。
世界ではワクチンの開発競争が進む。効果や安全性は確立されていないが、新型コロナ対策が限られる中で各国が期待を強めている。ロシア産ワクチンについては、これまでに20カ国以上が興味を示している。フィリピンは10月から治験を始める計画で、費用はロシアが負担する。

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