自民党総裁選、菅氏が政策案 石破氏は政策集発表
安倍晋三首相(自民党総裁)の後継を選ぶ総裁選の候補者による政策づくりが本格化した。菅義偉官房長官は近く公表する政策で、機能する日米同盟を基軸とした外交安全保障政策や、安倍政権が実現できなかった待機児童解消を掲げる。
岸田文雄政調会長が3日に政策集を発表したのに続き、石破茂元幹事長も4日に主要政策を説明した。

菅氏は総裁選で訴える政策の骨子案で「自助・共助・公助、そして絆」を国の基本理念に打ち出す。少子高齢化に関し「保育サービスを拡充し、長年の待機児童問題を終わらせる」と強調した。
「制度の非効率・不公平を是正し次世代に安心の社会保障制度を引き継ぐ」と明記した。「縦割りの打破なくして日本再生なし」と訴え、デジタル化を強力に進める。
雇用確保や地方再生もあげた。外交安全保障は日米同盟を基軸とし、中国などと「安定的な関係を構築する」と記す。

石破氏は同日、国会内で記者会見して総裁選で打ち出す政策集を発表した。地域分散と内需主導型経済の実現を柱に位置づけた。東京一極集中を是正するための担当閣僚を置くと明記した。
石破氏は「党のあり方、国のあり方につながるよう全身全霊で語っていきたい」と力説した。
14日の投開票をにらみ、各陣営は4日、支持拡大に動き出した。菅氏陣営は選対の役員体制を決めた。選対本部長の小此木八郎元国家公安委員長は会合で「菅氏は選挙中も投票日も官房長官だ。一人ひとりが菅氏に代わって多くの支持をいただけるようお願いしてもらいたい」と強調した。
役員の数は菅氏を支持する5派閥や無派閥議員らをほぼ均等に割り振った。選対の事務総長を務める山口泰明組織運動本部長は会合で「駆け引きもないし円満だ」と述べ、派閥の主導権争いがあるとの見方を否定した。

岸田氏も4日午前は政調会長として公務に臨んだ。党本部で新型コロナウイルス関連肺炎対策本部の会合に出席し「医療機関の経営不安の払拭のため、財政を中心にしっかりと支えていかなければならない」と語った。
午後には石破氏とともにフジテレビ番組に出演した。「政策や政治姿勢をまずは国民にしっかり訴えていく。社会への働きかけ、雰囲気の変化は必ず国会議員にも跳ね返ってくる」と訴えた。
その後、岸田派名誉会長の古賀誠元幹事長のお膝元である福岡県に向かい同県連の幹部らと会った。地方票の取り込みに向けて岸田派の所属議員の地元を訪ねる。
石破氏は国会内の理容店で散髪した。記者に日本政治のどこを整えたいか問われ「政府の言う通りだという納得感、一緒にやろうという共感を整えたい」と答えた。
3日に歯科診療所を訪れたことがSNS(交流サイト)で「ほほ笑ましい」などの反応があった。
