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米失業率、8月は8.4%に低下 5カ月ぶり10%下回る

(更新)

【ワシントン=河浪武史】米労働省が4日発表した8月の雇用統計(速報値、季節調整済み)は、失業率が8.4%と前月から1.8ポイント低下し、5カ月ぶりに10%を下回った。景気動向を敏感に映す非農業分門の就業者数も137万人増加した。ただ、政策効果の息切れなどで、レジャーや航空業などには「失業第2波」の懸念も残る。

市場は8月の失業率を9.8%、就業者数の増加幅を140万人増とみていた。米失業率は新型コロナの感染拡大による経済封鎖で4月に戦後最悪の14.7%まで悪化。その後は4カ月連続で持ち直し、金融危機時のピーク(2009年10月、10.0%)も下回った。

就業者数の増加幅は7月(173万人)から縮小したものの、好調の目安とされる20万人は上回った。営業再開で小売業が25万人増、飲食業も13万人増となった。政府部門の再開によって連邦政府も25万人増と多い。

失業者数もピークの4月(2300万人)から減少したが、8月は1355万人となお高水準。コロナ危機前の失業率は3%台で、失業者数も500万人台だった。職探しを諦めた生活者が多く、労働力人口は1年前から300万人も減少。労働市場から退出すると失業率には加算されず「隠れた失業」となる。

米国はなお厳しい雇用情勢のまま11月の大統領選に突入するが、勝敗を左右する激戦州では一部で労働市場が持ち直している。16年の選挙でトランプ氏が逆転勝利したミシガン州では、失業率が4月に24.0%まで悪化したが、自動車産業の操業再開などで7月は8.7%まで改善した。

中西部の激戦州では、オハイオ州も失業率は4月の17.6%から8.9%まで低下し、ウィスコンシン州は13.6%から7.0%まで改善した。中西部はコロナ危機が直撃した飲食などサービス業の比率が低く、雇用の回復が早い。

一方で民主党が地盤とするニューヨーク州は7月時点でも15.9%、カリフォルニア州も13.3%と失業率が高止まりする。両州ともサービス業の比率が高く、営業制限が響いている。

トランプ大統領は支持率で民主党のバイデン前副大統領に後れを取っているが、差は再び縮まりつつある。雇用回復が続けば、現職のトランプ氏へのコロナ危機対応を巡る激しい逆風は、段階的に和らぐことになる。

もっとも、11月の選挙に向けた政治リスクは、雇用の持ち直しの最大の障壁ともなる。共和党と民主党は選挙を控えて対立を深めており、追加経済対策の成立が遅れている。中小企業の給与を補填する6600億ドルの特例措置は8月初旬に申請期限が切れ、1千億ドル超の資金が未消化だ。

航空会社への雇用支援策も9月末で期限が切れるため、ユナイテッド航空は2日、10月以降に全従業員の17%にあたる1万6千人を削減する方針を表明した。カジノ運営のMGMリゾーツ・インターナショナルは、1万8千人に解雇を通知したことが8月末に明らかになった。米労働市場は航空やレジャー産業を中心に失業増の「第2波」の懸念が強まっている。

シカゴ連銀のエバンズ総裁は3日、20年末の米失業率が9%前後に高止まりするとの見方を示した。ワクチンなどで新型コロナの懸念を払拭できなければ、飲食や旅行などの需要回復は見込めない。同氏は「米経済が危機前の水準に戻るのは22年後半」と指摘する。

米連邦準備理事会(FRB)内には「数カ月以内に緩和スタンスに転じるのが適切だ」(ブレイナード理事)などと、量的緩和の拡充案などが浮上する。雇用回復のもたつきが鮮明になれば、財政、金融政策の両面で追加対応が急務になる。

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