JR四国、営業赤字76億円に拡大 4~6月期を初開示
成果指標ほぼ未達、経営自立遠く

2020/9/4 19:25
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JR四国は4日、国土交通省から経営改善の指導を受け開示を求められていた2020年4~6月期の決算を発表した。四半期の決算を開示するのは初めてで、新型コロナウイルスの影響で連結営業赤字が前年同期の22億円から76億円に拡大した。主要施策の観光列車などの集客目標は未達に終わり、経営改善の道筋は不透明感を増している。

新型コロナの影響で利用客が減少しているJR四国の高松駅(4日、高松市)

グループ会社が運営するホテルの宿泊や宴会利用も低迷している(4日、高松市)

JR四国は3月下旬、今期を最終年度とする事業計画を下方修正。3億円の経常黒字の達成は困難で、12億円の経常赤字に陥るとの見通しを公表した。これを受け国交省は、JR四国に対し、四半期ごとの決算を開示して経営指標を検証することなどを求めていた。

売上高にあたる営業収益は前年同期比63%減の44億円だった。6割強を占める運輸業(バスを含む)が、同63%減の28億円に落ち込んだことが響いた。ホテルの稼働率や単価も低下。ホテル業の売上高は、同85%減の2億円にとどまった。

JR四国はこれまで4~6月期の決算をまとめていなかったため過去との比較は困難としているが、76億円の営業赤字は「おそらく過去最低の数字」(財務部)と話す。

JR四国は国の支援措置である経営安定基金の運用益を「営業外損益」に計上している。これまで本業の営業赤字を補填していたが、4~6月期は補いきれず48億円の経常赤字(前年同期は4億円の黒字)に転落した。

運輸業の落ち込みは現預金の流出につながり、3月時点で147億円の現預金は6月末にも尽きかけ、約30億円の借り入れを行った。こうした経営環境の悪化を受けて運賃改定の検討を開始。西牧世博社長は8月末の記者会見で21年4月以降の改定に言及した。

21年3月期の5つの成果指標(KPI)では、主力観光列車の利用客を1万人と試算したが、4~6月は運休に追い込まれたため実績はゼロ。訪日外国人向けチケット販売は、6000万円の目標額に対して数万円にとどまった。

達成した2項目のKPIは契約条件の見直しに伴う経費削減と、分譲マンション販売のための解体工事の実施で業績に与える影響は限定的だ。売上高を引き上げる施策は未達だった。

足元の利用客数は9割減に落ち込んだ最悪期を脱し、持ち直しつつあるが、今期中に前年実績に戻すのは困難との見方が広がる。今期中に5カ年と10カ年の中長期経営計画を策定するが、事業計画を精査する中で実効性がある方針を示すことができなければ、経営自立はさらに遠のく。

(亀井慶一)

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