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初心者にもレースの快走 サイクルベースあさひの整備

匠と巧

購入者の利用目的に応じ、ギアなどのパーツをセッティングする=玉井良幸撮影

新型コロナウイルス禍で公共交通機関に替わる移動手段として、自転車への関心が高まっている。通勤や通学だけでなく、スポーツ用の自転車なら旅行やレースで非日常も手軽に味わえる。専門店「サイクルベースあさひ」を日本各地に481店構えるあさひには、幅広い自転車の修理や品質管理を担う専門家がいた。

メンテナンス用のスタンドに自転車を据え付け、部品の締め具合やオイルの量を見ながら、油圧式ディスクブレーキの効き具合を確認する。乗り手の用途に応じてハンドルの高さやバランスを調整。寝屋川店(大阪府寝屋川市)で店長を務める山川修平さんは工具を次々と持ち替え、顧客のデータを見ながら1台当たり10~20分で整備を次々と終えていく。

業界最大手のあさひには自社で販売した商品以外にも、子供用から電動、スポーツ用まで多種多様な自転車が修理に持ち込まれる。各地で積み上がる修理事例を共有し、講習や研修に活用。どんな自転車にも対応できるのが特徴だ。

山川さんは社内の独自資格「技術マイスター」を持つ。部品がバラバラの状態から1台のスポーツ車を70分以内に組み立てる技能試験などを経て認定された。社内にはほかに「接客マイスター」、スポーツ車で観光地を案内する「ガイドマイスター」の資格があり、3つ全てを持つのは社員やアルバイトなど約3500人のうち21人。山川さんはその一人だ。

「ガイドをしながら修理や調整もする。自転車に乗る場面で問題を感じると、店での修理にも生きる」と山川さん。大阪の市街地を通るツアーに同行したとき、郊外と違ってスピードが出にくく姿勢を崩す人が目立った。ハンドルを持つ手に力が入り痛いとの声が上がり、ハンドルやサドルの角度を調整して対応。現場の問題点を知ることが店での修繕にもつながる。

大型の店を展開する企業だけに、接客してきた層も子どもから高齢者、乗り慣れた人まで幅広く数も多い。あらゆる顧客のニーズと自転車に対応できるようノウハウを磨いていった。

「感覚や経験で修理していると思われるが、安全性を確保するため正確な範囲で作業する必要がある」と山川さん。スポーツ自転車ではフレームやハンドルに軽くて振動を吸収しやすいカーボン素材を使う。部品を締め付ける際、力不足だとネジが緩み外れ、強過ぎると部品の破損や事故につながる。デジタルの専用工具も導入して精度とスピードを高めている。

一方で、アルバイト時代を含め20年で約2万台を修理してきた経験や勘ももちろん生かす。

初心者ではスポーツ自転車を買ってもサドルが小さく座り慣れない人がいる。旅行など長い距離を走る際にはサドルを低くし肩や腰への負担を減らす。逆にレース目的ならサドルを高めに、ハンドルを遠めにし、体勢が低くなって風の抵抗も受けにくくする。

店で接し一緒に走るからこそ、修理のポイントを深くつかめるようになった。修理にどんな自転車が来るか、楽しみに待っている。(松本晟)

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