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住民票もキャッシュレス、釧路・芦別に問い合わせ殺到

芦別市では5月から窓口にキャッシュレス決済を試験導入した(芦別市役所)

北海道釧路市と芦別市が窓口で住民票を取得する際の手数料のキャッシュレス化に対応し、全国の市町村から注目を集めている。新型コロナウイルスの感染防止で接触を避けるために検討を始める自治体が相次いでおり、導入が進まない北海道内の市町村にも波及効果を及ぼしつつある。

芦別市は5月、市役所の窓口にみずほフィナンシャルグループ主導のキャッシュレス決済「Jコインペイ」とスマートフォン決済の「PayPay(ペイペイ)」を試験導入した。市民が住民票や戸籍謄本などを取り寄せる時にかかる手数料の支払いに利用できる。

民間にキャッシュレス導入を促そうと、市は2019年夏から検討を始めていた。新型コロナが広まった後は「窓口でも人との接触を避けられるキャッシュレス化で感染を予防するべきだ」(同市総務部)と判断。多い時には1日4~5件の決済がある。21年3月まで需要を把握し、本格的に導入するかを決める。

釧路市は20年3月から市役所の窓口にキャッシュレス決済を導入した。クレジットカードや電子マネーなど20種類もの決済が使え、全国でも指折りの豊富な選択肢をそろえる自治体として知られるまでになった。1年程度を実証期間として位置づけており、住民が多く使う手段を調査する。

行政窓口のキャッシュレス決済はまだ少数派だ。数ある決済サービスの中から住民が最も使いやすい事業者を選ぶ必要があり、決済業者に支払う手数料が高いと理解を得にくい面がある。住民にとっての「最大公約数」を見極める手間と時間が導入の壁といえる。

独特のルールも導入に二の足を踏ませてきた。決済を請け負う民間事業者が月々の利用料金を自治体側に納める際、逆に事業者側が受け取る手数料とは分けてお互いに支払い合わなければならない。民間企業同士なら手数料を差し引いた利用料を納めれば一度で済む。硬直的な自治体との取引には民間サイドから改善を求める声が多い。

新型コロナの感染拡大後は、自治体にも決済手法をキャッシュレスを含む非接触に見直す機運が急速に高まっている。芦別市の行財政改革推進課は「自治体がキャッシュレス導入を考える最後のチャンス」と捉えている。利用者側にも現金の受け渡しを避ける意識が強く、キャッシュレス決済に追い風が吹いている。

キャッシュレス決済には政府も「マイナポイント」で最大5000円分のポイントを上乗せし、普及を後押しする。このほど予算化した地方自治体向け臨時交付金の活用例でもキャッシュレスの普及を呼びかけた。不人気のマイナンバーカードをこの機に普及させたい思惑は透けるが、市町村にも後進自治体にとどまるメリットは小さい。

全国には先進事例もある。千葉県市川市は19年7月から通話アプリのLINEを使って住民票を申請できる実験を開始。申請入力だけでなく、決済サービス「LINE Pay」を使って支払いまでスマホで完結させられる。利用率は全体の1%に満たないが、「住民に受け入れられてきた。今後も市役所に来なくてすむサービスを目指す」(Web管理課)と手応えを感じている。

利用者の利便性より前例踏襲を重んじてきた市町村も、コロナ禍で変わり始めている。釧路市と芦別市には、決済手段の選び方や導入までの過程を聞こうと道内外の数十を超える自治体から問い合わせが殺到する。名寄市や砂川市は複数の自治体に聞き取り、導入に向けた議論を始めた。

(塩崎健太郎)

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