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豊島逸夫の金のつぶやき

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NY株急落の実相と今後

2020/9/4 9:14
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多くの市場参加者が、株高と実体経済の乖離(かいり)に警戒観を強める中で、NY株が大幅に急落した。特に大きな売り材料が出たわけではない。ドカ雪のごとく積もった新雪が表層雪崩を引き起こした感がある。ロビンフッダーには、初の本格売りの洗礼だ。いっぽう、一般の米国人投資家の中には、下がった場合の損失が限定できるコールオプションに切り替える人たちも目立つ。基本的には上げ基調継続と見るが、リスクは軽減したいとの思いが透ける。

対して、機関投資家たちは、既に多くが下げに備え、プットオプション購入などヘッジ策を講じていた。下げも想定内である。

ヘッジファンドたちは、ボラティリティーの高さに、「いざ、出番」と臨戦態勢だ。

恐怖指数と言われるVIXは1日で26%も急騰して33と危機ラインに達した。

本欄8月28日付「VIX先物高が示す米金融政策リスク」では、VIX(スポット)が当時24のところ、10月物が31、11月物が30と先高になっており、米大統領選挙を控え、市場は波乱を懸念している、とした。

それが既にスポットで33、10月、11月物は35前後とさらなる波乱を暗示している。

それでも今回は売らず、市場のさらなる上昇に賭ける投資家が期待するのは、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)における追加緩和議論の可能性だ。具体的には、量的緩和強化、社債購入枠拡大などが語られれば、かなりのインパクトが見込まれる。

とはいえ、米連邦準備理事会(FRB)側には悩ましい状況だ。今回の有事対応金融政策の目玉といえる民間企業への融資が、特に手続きが煩雑で不人気だ。優良な企業にしてみれば、社債を発行したほうが、容易に低金利で資金調達できる。

パウエル議長がジャクソンホールで発表した新金融政策が、NY株買い手の心の支えになっているが、株価が急落すると、頼りのFRBにも疑念が生じる。平均インフレ率という概念も、「平均」とは、かなり曖昧な表現だ。FRB側としては金融政策の自由度を維持したいのだろうが、マーケットは透明性を求める。ジャクソンホールでの発表直後の高揚感も徐々に冷めて、市場の上昇モメンタムも萎えてきた。

金融政策の限界があらわになるなかで、財政政策が注目されているが、兆ドル単位の経済支援策については両党のにらみ合いが続いている。足元では、週600ドルの追加失業給付も期限切れとなり、直接的に消費者信頼感がしぼんできた。議会は夏休みに入り、マーケットはじれる。

総じて、緩和マネーの多くはキャッシュで待機資金となっており、さらなる上昇余地を残す。まずは一服。短期調整期間はやむ無し、という段階であろう。

豊島逸夫(としま・いつお)

 豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。株式・債券・外為・商品を総合的にカバー。日経マネー「豊島逸夫の世界経済の深層真理」を連載。
・ブルームバーグ情報提供社コードGLD(Toshima&Associates)
・ツイッター@jefftoshima
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