EU、リチウムなどで欧州企業連合 域外依存引き下げ目指す

2020/9/3 23:11
保存
共有
印刷
その他

【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)がリチウムやコバルトといった重要な原材料について、EUの企業などが関わる形で供給網を再構築する。EUが重視するデジタル化や環境政策に欠かせない材料で、中国など域外への依存度を引き下げる狙いだ。

3日、記者会見する欧州委員会のシェフチョビッチ副委員長(左)ら(ブリュッセル)=ロイター

EUの欧州委員会が3日、重要な原材料に関する行動計画を発表した。安定供給が欠かせない原材料のリストにリチウムやチタンなどを加え、対象を30種に増やした。リチウムは電気自動車(EV)のバッテリーなどに使うレアメタル(希少金属)で、チタンは航空宇宙産業で多用される。

探査・採掘から利用、リサイクルまでを欧州勢で手掛けるため、欧州企業や政府系機関でつくる「原材料連合」を創設する。電池をつくるための磁石生産に使われるレアメタルやレアアース(希土類)に焦点を当て、EU独自のエコシステムの構築をめざす。

モデルは2017年に始めた「欧州バッテリー連合」だ。EV用電池の大規模生産に向け、いまでは約400の企業・団体が参加し、成果を上げつつある。

EUは50年に域内の温暖化ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げる。50年時点でリチウムの域内需要が現在の60倍、コバルトは15倍に増えると欧州委は予測する。同委は資源の再利用技術の確立に加え、域内生産を推進する方針を示した。

例えばリチウムはポルトガル、コバルトはポーランドなどに埋蔵する。コストなどの課題もあるが、域内生産は経済安全保障の向上に貢献するほか、脱石炭を進める過程で職を失う労働者の受け皿になるとみている。

EUが域外依存からの脱却をめざすのは新型コロナの感染拡大がきっかけだ。移動制限による供給網途絶に加え、世界の各国は輸出制限で重要な原材料・製品を自国で囲い込んだ。欧州委のシェフチョビッチ副委員長は3日の記者会見で「(域外への)高い依存度を下げ、多様化を進める」と語った。

EUはレアアースの98%を中国、リチウムの78%をチリ、コバルトの68%をコンゴ民主共和国に依存する。とりわけ中国への警戒感は強い。米中の対立が激しさを増すなか、EUも中国への依存度が高いままではリスクが大きいと判断した。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]