コロナで仕事に不安 社会人の学び直しが加速

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2020/9/3 11:30
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divが開くプログラミングスクールには新型コロナ下で受講の問い合わせが増えた(同社提供)

divが開くプログラミングスクールには新型コロナ下で受講の問い合わせが増えた(同社提供)

新型コロナウイルス禍を機に社会人の学び直し(リカレント教育)が広がっている。働き方の変化に対応するため、テレワークで空いた時間を使ってスキルを身につけようと動き始めた人が多い。オンラインの活用も国が進めてきた学び直しの環境整備を後押しする。

「学び続けないと仕事がなくなるという危機感で動き始めた」。中部地方の建設会社で個人住宅を手掛ける1級建築士、小田英邦さん(46)が全く初心者だったプログラミングをオンラインで学び始めて4カ月たつ。

すでに基本的な技術を身につけ、10月からは職場の事務を簡素化するシステムを独自に作って「働き方改革」を進める。余った時間で付加価値の高い戸建てのマーケティングに労力を割くという。

新型コロナの影響で、戸建ての新規受注が大幅に減った。一時は住宅展示場の閉鎖で営業ができず、収入減を理由に契約を破棄した客もいた。「受け身でなく、付加価値を提案する建築士でないと生き残れない」と話す。

小田さんが学ぶのは、div(東京・渋谷)が運営するプログラミングスクール「テックキャンプ」だ。新型コロナを機に申し込みの相談が増え、6月は2014年10月の開校以来、相談が最多だったという。

新型コロナの影響で勤務先の業績が悪化したり業務が変わったりして、不安を覚えた社会人は少なくない。独立行政法人「労働政策研究・研修機構」が8月、民間企業で働く約4千人に実施した調査では4割が「雇用や収入に影響があった」と回答。影響として収入減のほか業務内容や雇用形態の変更も挙がった。公益財団法人「日本生産性本部」が5月に社会人約1千人に行った調査では47%が自身の雇用に不安を感じていた。

ビジネススクールなどを運営する「グロービス」(東京・千代田)は9月1日時点で動画学習サービスを受講する会員数が14万人を超え、5万9千人だった2月からほぼ倍増した。20代の利用者が増えたほか、従来多かった営業に加えて労務や販売など幅広い職種の会社員が受講し始めた。

1人当たりの学習時間もコロナ後に伸び、テレワークで生まれた隙間時間を学習に費やす人が増えたとみられる。同サービスの事業リーダー、鳥潟幸志さんは「定年まで会社に残れるのかと不安になり、スキルを磨く必要性に気付いた人が多い」とみる。

文部科学省は働きながら大学で柔軟に単位を取れる制度作りなどを進め、16年度に約50万人だった大学や専門学校などで学ぶ社会人を22年度までに100万人に増やす計画を掲げる。

内閣府の18年度調査では「社会人となった後に大学などで学んだ/学びたい」と答えた割合は36%にのぼった。一方で、必要な支援としては「学費など経済的な支援」(42%)、「土日祝日や夜間など、開講時間の配慮」(36%)などが挙がった。

法政大の田中研之輔教授(キャリア論)は「国際的にリカレント教育が遅れてきた日本でも、終身雇用が崩れる危機を感じてキャリアを切り開こうと考える人が急増した」とみる。オンラインの活用で地方や介護中でも学びやすくなったといい、「国が目標とする大学など高等教育で学ぶ人を増やすには、学費や単位などで社会人が使いやすい仕組み作りがさらに必要だ」と話す。

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