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シンガポール首相、国籍偏重雇用の企業に警告

日本現法にも多様性要求か

【シンガポール=中野貴司】シンガポールのリー・シェンロン首相は2日国会で演説し「外国人の雇用が一つの国籍に過度に偏っている企業には特に警告する」と述べ、進出企業に多様性の確保を求めた。現地法人の幹部の多くが日本人である日本企業も少なくなく、見直しを迫られそうだ。

リー首相は2日の国会演説で、進出企業の雇用慣行への監視を強化する考えを示した(写真は国会演説のテレビ中継)

シンガポール政府は8月下旬、外国人のビザ取得要件を厳格化すると発表したばかりだ。7月の総選挙で得票率を落とした与党の人民行動党(PAP)政権はシンガポール人の雇用確保を優先する方針も鮮明にしており、日本企業は日本人以外の採用や幹部登用を今後加速する必要がある。

リー氏は演説で「雇用が一つの国籍に偏っていると、シンガポール人や他の国籍の社員は適応しづらくなり、将来の昇進も見通しにくくなる」と指摘。「その企業自身も多民族社会のシンガポールに溶け込めない」と話し、国籍による差別が明らかになれば厳しく対処する方針を示した。

同時に、東南アジアのハブとしての地位を維持するために、有能な多国籍の人材を呼び込み続ける重要性も強調した。「かつての日本企業のように、本社が一つの国籍の社員で運営されている企業は繁栄しなかった」とする一方で、「世界中から本社に人材を集めた米国の企業は多様な市場を理解でき、成功した」と主張した。

その上でシンガポール人社員を幹部人材に育成した英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)や米シティバンクの例を挙げ、海外企業との共存共栄を訴えた。

外務省によると、800社を超える日本企業がシンガポールに進出している。多くの企業は現地人材の採用を強化しているものの、非シンガポール人の幹部・社員の多くは依然日本から派遣された日本人という企業も多い。リー氏が外国人社員の中での多様性を求めたことで、日本人社員の派遣減少を検討する企業が増える見通しだ。

シンガポール政府は専門職向けのビザ(EP)取得に必要な月給額を1日に、3900シンガポールドル(約30万円)以上から4500シンガポールドル以上に引き上げた。シンガポールは英語や中国語ができる人材を集めやすく、解雇もしやすいため、日本企業の東南アジアの中核拠点となってきた。ただ、ここにきて雇用の自由度は急速に下がっている。

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