DX投資へ事業売却検討 アジア企業の過半 EY調査
アジア太平洋地域の企業の間で、デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる機運が高まっている。会計事務所アーンスト・アンド・ヤング(EY)によると、DX投資の資金確保のため、事業売却を検討する企業は56%と、1月調査から25ポイント増えた。新型コロナウイルス禍を背景にデジタルシフトが加速しそうだ。
EYが日本や中国、韓国、インド、東南アジアなどの売上高2億5千万ドル(約260億円)以上の企業の経営幹部など100人を対象に、4~5月に調査した。このうち56人がリモートワークや工場の自動化といったテクノロジー投資のために事業の再編・売却を検討していると回答した。
19年11月~20年1月の調査(対象361人)では同回答は全体の31%で、コロナ禍を経て大きく増えた。足元ではテレビ会議や在宅勤務に使うシステムの増強や導入が増えている。EYは「企業はデジタルインフラに頼ることを余儀なくされており、事業再編・売却による資金調達が魅力的な選択肢となっている」と分析している。
世界全体(対象310社)では同様の目的で事業再編を検討している企業の割合は52%。特に中華圏(中国、香港、台湾)で67%が該当し、他地域に比べて比率が高い。EYは「政府の支援策などの影響もあるのではないか」とみている。