寂しすぎるキャンパス生活 続く遠隔授業、大学生不満

大学
2020/9/2 2:00
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小中高校が夏休み前から通常授業に戻る中、ほとんどの大学はオンライン授業を続け、秋以降も対面での授業は限定的になりそうだ。「大学がどんな場所か分からない」。大学1年生は新型コロナウイルスが直撃したキャンパスライフの寂しさを嘆き、保護者からも不満の声が上がる。

愛知大学は夏休み明けからゼミなど一部の授業を対面に切り替える(名古屋市中村区)

愛知大学は夏休み明けからゼミなど一部の授業を対面に切り替える(名古屋市中村区)

「大学に行ったのは1度。4月にあった新入生ガイダンスだけです」。名古屋大1年の男子学生(19)は肩を落とす。入学式は中止になり、前期の授業はすべて動画やテレビ会議システム「Zoom」の講義だった。仲間と熱く議論を交わすような学びの場をイメージしていたが、新しい友人はできていない。

政府の緊急事態宣言解除後の6月は埼玉の実家に戻り、高校時代の級友らと遊んだ。だが実家には80代の祖母もおり、お盆休みの帰省は断念。喫茶店と下宿先を往復して読書や資格試験の勉強をする毎日を過ごす。「受験生のときとほとんど変わりませんね」。男子学生は寂しそうに語る。

国立大1年の女子学生(18)はスポーツのサークルに入ろうと思っていたが、新入生向けのイベントがなく活動内容がわからない。「愛知の小中学校は5月から対面で再開した。なぜ大学はできないのか」と憤る。

対面授業の再開を願う学生は多い。文系学部に在籍する大学4年の女子学生(23)は「専門性が高いゼミはオンラインだけでは限界がある。時間が短くて気軽に質問することもできず、論文をまとめられるかどうか……」と不安を募らせる。

学費を負担する保護者の不満も大きく、私大3年の息子を持つ名古屋市の主婦(56)は「学内の施設を全く使えないなら、少しでも学費を減免してほしい」と訴える。感染拡大後にアルバイトを減らした息子のために仕送りを増やし、家計は苦しいという。

対面授業の再開に慎重な理由について、名古屋市内の私大の担当者は「『十分な学習効果が期待できない』との苦情はあるが、小中高と比べて感染した場合のリスクが大きい」と説明する。授業ごとに学生が入り交じるため、1人が感染した場合に多くの濃厚接触者が出る恐れがあると話す。

最近は新規感染者数が減りつつあり、愛知県独自の緊急事態宣言は解除された。一方、8月に入って三重大医学部でクラスター(感染者集団)が発生したほか、名古屋工業大や愛知県立大など学生が感染する例も出ており、秋以降の対応を決めかねている大学が多い。

愛知大は夏休み明けからゼミなど一部の授業を対面に切り替えるものの、多くの授業はオンラインを続ける。担当者は「対面を広げたい思いはあるが、300人規模の講義は『3密』が避けられない」と話す。南山大なども少しずつ対面を増やす方針だが、全面再開はまだ遠い。

思い描いたキャンパスライフが取り戻せない中、大学側も不満や不安を解消しようと試みる。名古屋市立大は学長自ら「ユーチューバー」となり、キャンパスや付属病院から大学で勉強する意義や可能性を学生に向けて発信している。

名古屋大は8月26日、松尾清一学長が学生150人とオンラインで対話する機会を設けた。参加した学生は「キャンパス内で友達とコミュニケーションが取りたい」「対面で新入生を勧誘する機会がほしい」と主張。松尾学長は「課外活動も大学時代の人間形成には極めて重要だ。感染対策と大学の活動を両立させるため、よりきめ細かい対応を心掛けたい」と語った。名大は学生らの意見を踏まえ、今後の対応を考えるという。

(藤井将太、植田寛之)

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