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成長続くフィンテック コロナ後占う4つの潮流

CBINSIGHTS
フィンテック企業の拡大が続いている。新型コロナウイルス禍の影響も受けたが、資金調達面ではマイナスに作用する一方、EC(電子商取引)関連の決済サービスが伸びるなどプラスに働いた面もある。4月以降には新規株式公開(IPO)へ向けた動きも相次いだ。今後のフィンテックを占う4つのトレンドを紹介する。
日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週2回掲載しています。

フィンテック業界は成長し続けている。2020年4~6月期のメガラウンド(1億ドル以上の資金調達)の件数は四半期ベースで過去最高に達した。さらに、米保険レモネード(Lemonade)や銀行向けクラウドサービスの米エヌシーノ(nCino)、米住宅ローンのロケットカンパニーズ(Rocket Companies)がIPOを申請するなどエグジット(投資回収)活動も盛んだ。

20年4~6月期のフィンテックの資金調達額は前四半期比17%増えたが、調達件数は引き続き大きく減少し、年率換算では件数、金額ともに18年よりも前の水準に下がった。調達件数の減少は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の前から始まっており、新型コロナ以外にも原因がある可能性を示している。

年率換算での調達件数と調達額、18年よりも前の水準に低下 (世界のフィンテックスタートアップの資金調達状況、15年~20年4~6月期末時点)

ただ、フィンテック全体の資金調達件数は減少しているものの、銀行や決済など一部の分野は好調だった。「組み込み(エンベデッド)フィンテック」の成長など、この業界の4つのトレンドについて取り上げる。

1.組み込みフィンテック、様々なアプリに

非金融企業が自社のサービスに金融サービスを組み込む「エンベデッドフィンテック」が、様々な国やアプリで増えている。主な例は以下の通りだ。

・米ショッピファイ(Shopify)の決済サービスの売上高が増えているのは、ECでの組み込みフィンテックの潜在力を示している。同社の20年1~3月期の加盟店ソリューション部門の売上高は全体の60%を占めた。決済処理手数料が主にけん引した。

・銀行関連では、規制当局による、銀行の基幹システムを外部企業と連携させる「オープンバンキング化」の後押しを受け、フィンテックのインフラを手掛ける中南米のスタートアップが、次世代のリテールバンクへの足場を固めている。ブラジルの決済スタートアップ、ビーテック(BeeTech)はシリーズAの資金調達ラウンドで2100万ドルを調達した。

・人事プラットフォームの米ガスト(Gusto)は給与前払いサービス「キャッシュアウト」を提供している。この分野はコロナの感染拡大で需要が伸びている。

トヨタ自動車や米フォード・モーターなどの自動車メーカー各社は、データを活用して保険サービスの改善を進めている。

・法人向けサービスを手掛けるユニコーン(企業価値が10億ドルを超える未上場企業)の米アビッドエクスチェンジ(AvidXchange)は、中小企業向けシステムに請求書支払いソフトを提供している。同社は4月、1億2800万ドルを調達した。

・不動産物件の評価サイトを運営する米ジロー(Zillow)は、不動産フィンテックを住宅ローンや売買契約などの手続き完了サービスと一体化している。

4~6月期にはこうした組み込みフィンテックを手掛ける多くの企業が資金を調達した。オーストラリアの法人向け決済のエアーウォレックス(Airwallex)、個人向け決済の英チェックアウト・ドット・コム(Checkout.com)、不動産売買契約などの手続きを手掛ける米ステーツ・タイトル(States Title)などが主な例だ。

組み込みフィンテックは世界各国の様々なアプリに登場している

2.新世代の銀行サービス提供者が台頭

オープンバンキングの拡大に伴い、英ヤピリー(Yapily)やインドのセツ(Setu)など銀行業務のテクノロジーを提供する企業に引き続き資金が流入している。一方、既存の金融会社もオープンバンキングサービスを提供しつつある。金融大手の米フィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ(FIS)は6月、利用者が外部企業を介さず自分の口座から直接支払うことができる新たな即時決済サービスを始めた。

新型コロナの感染拡大に伴う広範なロックダウン(都市封鎖)や支店の閉鎖により、デジタルバンキングが一段と注目されている。競争が激しくなれば主なチャレンジャーバンク(新興のデジタル銀行)が市場シェアを獲得し、品ぞろえを拡充しようとするため、再編が加速する可能性がある。

既に、消費者向け融資を手掛ける米ソーファイ(SoFi)が4月に決済プラットフォームの米ガリレオ(Galileo)を12億ドルで買収し、米マスターカードが6月にデータ分析サービスの米フィニシティ(Finicity)を8億2500万ドルで取得するなど、その兆しが見えている。

新世代の銀行サービス提供者が引き続き台頭、既存勢は様子見

3.コロナ禍に伴うECの活況、フィンテック勢の追い風に

新型コロナの影響で消費者や小売り各社はオンラインへの移行を迫られている。米小売売上高全体に占めるECの割合は19年の16%から20年4月には推定27%に急増した。これはフィンテック企業にとって追い風になっている。ECでの消費が高水準を維持すれば、決済や精算関連の分野は特に好位置につけるだろう。

コロナ禍に伴うECの活況、フィンテックの追い風に

4.フィンテック企業の上場申請相次ぐ

20年4~6月期にはフィンテック企業のIPO申請や上場が相次いだ。これまで一定規模まで成長したスタートアップがなかなか上場せず、パンデミック初期にはIPO申請がほぼゼロに落ち込んでいたが、こうした傾向は大きく変わった。

IPOを申請した主な企業は以下の通りだ。

・デジタル融資や住宅所有者向け保険を提供するレモネード

・銀行向けのクラウドソフトを提供するエヌシーノ

・決済情報処理会社、米シフト・フォー・ペイメンツ(Shift4Payments)

・フィンテックに特化したSPAC(特別買収目的会社)、米フュージョン・アクイジション(Fusion Acquisition)

創業30年の米保険契約比較サイト運営、セレクトクオート(SelectQuote)も上場することにしたのは注目に値する。

20年4~6月期、フィンテック企業の上場申請相次ぐ

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