売上高30年ぶり低水準、全産業4~6月 車・飲食など急減 - 日本経済新聞
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売上高30年ぶり低水準、全産業4~6月 車・飲食など急減

新型コロナウイルスの感染拡大で4~6月期の中小企業を含めた国内企業業績が大幅に落ち込んだことがわかった。金融・保険業を除く全産業の売上高は30年ぶりの低い水準となった。設備投資も急減し、国内総生産(GDP)は8月に公表した速報値から下振れしそうだ。企業業績は4~6月期を底に7~9月期に上向くとの見方が多い。

財務省が1日、資本金1千万円以上の約3万社を対象とする4~6月期の法人企業統計を発表した。コロナ禍を受けた政府の緊急事態宣言で経済活動が滞った結果、上場企業だけでなく、中小企業も含めた産業全体に大きな打撃がおよんだことが浮き彫りとなった。

売上高は前年同期比17.7%減の284兆6769億円となった。減少幅は、リーマン・ショック後の2009年1~3月期に次ぐ過去2番目の大きさだ。金額そのものをみても1990年4~6月期以来の低さで、30年前の水準に逆戻りした。季節調整値で1~3月期と比べると10.7%減った。前四半期との比較でみた場合、過去最大の落ち込みとなった。

飲食、宿泊などサービス業が前年同期比31.8%減と急減した。「店舗の休業や外出自粛が響いた」(財務省)。自動車を中心とする輸送用機械も世界的な販売低迷で37.2%減と落ち込んだ。

製造、非製造業の代表的な19業種のうち増収となったのは、テレワークやインターネット通販などの広がりが追い風となった情報通信業だけだ。

経常利益も全産業で46.6%減と半分近くが吹き飛んだ。鉄道、航空の旅客が減った運輸・郵便業は8259億円の赤字に転落。石油・石炭、鉄鋼業も赤字となった。

規模の小さい企業ほど利益が減る傾向があり、資本金1千万~1億円の中小企業は79.6%の減益となった。もともと低い売上高経常利益率が1.1%まで低下した。

深刻な減収に見舞われ、多くの企業が借金などで当座の資金を確保した様子もうかがえる。短期借入金は前年同期より20.8%多い181兆6389億円に増えた。1995年10~12月期以来、約25年ぶりの増加率だ。有価証券が22.4%減と大きく減ったのも「換金に使われた可能性がある」(同)という。

先行きを見通すと、7~9月期の業績は持ち直しに向かいそうだ。自動車の販売は中国向けの輸出回復もあって増え、メーカー各社は工場を通常稼働に戻している。小売りや外食、交通などのサービス業も4~5月の最悪期は脱したとみられる。7月以降の感染再拡大で消費回復に足踏みもみられるが、4~6月期よりは改善する見通しだ。

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