台湾への武器売却「中国の対応次第」、米機密文書公開

2020/9/1 15:39
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【台北=中村裕】米国が中国への圧力を一段と強めている。米国の対台湾窓口機関である米国在台湾協会(AIT)は8月31日、台湾への武器売却制限などを示した1982年の米中共同声明にからむ機密文書の全容を公開した。

米国が公開した台湾への武器売却に対する認識を示した1982年当時の機密文書=米国在台湾協会(AIT)提供

文書では「中国がより敵対的な態度を見せた場合は、(台湾への武器売却についての約束を)無効にする」などと記してあった。米国から台湾への武器輸出が増えるなか、その正当性を米国が中国に示すための材料として公開されたものとみられる。

公開したのは82年8月17日にレーガン米大統領と中国最高指導者の鄧小平氏(ともに当時)が発表した米中共同声明「8.17コミュニケ」に絡む、米国側の事前内部資料。コミュニケ発表の約1カ月前の7月10日付となっており、対台湾説明のための内部文書にあたる。

文書は、米国のレーガン政権で当時、国務次官を務めたローレンス・イーグルバーガー氏が、台湾で米側トップを務めたジェームズ・リリーAIT処長あてに送られた。それを基に同処長が台湾の当時の蒋経国政権に対し共同声明の内容を事前説明した。

文書では「8.17コミュニケ」に対する米国の認識が、台湾側に詳細に説明されていた点が特徴。コミュニケでは、米国が台湾への武器売却を「徐々に減らしていく」ことが記されたが、公開された文書では、多くの条件が付けられていた。

中国が敵対的な態度を見せた場合は、台湾への武器輸出をむしろ増やすことが示唆され、さらに「中国と台湾の違いを平和的に解決する中国の継続的な取り組みにかかっている」としていた。台湾への武器輸出の性能や販売量は、中国によってもたらされる脅威によって決まるなどの内容も盛り込まれ、台湾側に説明されていた。

レーガン政権は共同声明と合わせ、蒋経国政権に対し武器売却について「具体的な終了時期を設けない」などの「6項目保証」も約束している。

「8.17コミュニケ」に対する米中の認識には隔たりがある。中国は同コミュニケを根拠にトランプ米政権が最近、台湾への武器売却を相次ぎ決めていることを激しく非難している。一方、米国はコミュニケの前提が中国によって崩されていると主張。機密文書の公開で、それを裏付けたい狙いがあったとみられる。

米国は昨年もコミュニケに関する機密文書を公開した。ただ「コミュニケ発表前に、米国と台湾が交わしたやりとりの全容が公開されるのは今回が初めて」(国際政治に詳しい台湾・成功大学の蒙志成副教授)という。

台湾の外交部(外務省)は31日、「中国が軍事的脅威を利用して台湾海峡と地域の平和と安定を損なうなか、米国の安全保障への確固たる取り組みに心から感謝の意を表する」とのコメントを発表した。

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