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渋谷区、事業者支援へCF活用 行政のデジタル化課題

コロナ危機 地方から 渋谷・デジタル化への挑戦(下)

渋谷区などは「YOU MAKE SHIBUYA」と銘打ち、街頭ビジョンなどでネット寄付を呼びかけている

チケット販売やライブ配信ができるプラットフォームの整備、独自電子商取引(EC)サイトの開発、オンラインファッションショー……。東京都渋谷区や区商店会連合会、観光協会などは新型コロナウイルスで経営が厳しいエンタメやファッション産業、小売業にこうした支援策を描く。

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経営体力が弱い小規模事業者が参加しやすい独自のデジタル基盤を整備し、「新常態」へのシフトを促す狙いだ。その財源の一部に見込むのがネットで資金を募るクラウドファンディング(CF)だ。4289万円を目標に7月下旬から寄付を受け付けており、渋谷区の予算1億円を合わせて支援策を実行する計画だ。

23区では固定資産税や法人住民税を都がいったん集め、各区に配分する。全国の市町村では税収の4割を固定資産税が占めるが、渋谷区は9割強が住民税だ。300万人の来街者を前提にしている地域経済を人口23万人の負担を中心に支えるのは「難しい」(同区)とみて、CFを活用する。

長谷部健区長は「渋谷を愛する人の情熱もあって街は発展した。区民以外の人とも一緒に未来をつくりたい」と訴える。寄付は6日までで、1日午後7時時点で約2500万円集まっている。

渋谷区はデジタル活用に大きくかじを切り始めたが、対応すべき課題は多い。なかでも求められるのが、紙や対面文化が根強い行政自らのデジタル化だ。

長谷部氏は2017年12月、エストニアに飛んだ。行政手続きの99%がデジタル化された世界的な電子国家を視察するためだ。「結婚と離婚、土地の売買以外はすべて電子決済だった」。例えば個人間の車の売買では日本は名義変更などで陸運局に行く必要があるが、同国ではオンラインで完結する。「ちょっと日本やばいな」。国を挙げて推進する姿に危機感を覚えた。

国連がまとめた20年の電子政府ランキングで日本は14位。新型コロナ対策の10万円給付ではマイナンバーと住民基本台帳がひもづいておらず、自治体の窓口が混乱。オンライン申請を中止する自治体も相次いだ。行政の対応が遅れるほど民間の利便性は損なわれる。

渋谷区は17年に対話アプリ「LINE」を使ったAI自動応答サービスを導入したほか、19年からは民間のチャットツールを職員の業務連絡に活用する。大人数の会議もオンラインとし、「出席者の日程調整がしやすくなり、業務効率が劇的に上がった」(職員)。4月にはLINEで住民票の写しの交付申請をできるようにした。

新型コロナをきっかけに、行政サービスのデジタル化は急務となっている。東京都はデジタル空間で行政手続きをできるようにする「バーチャル都庁」の検討を始めた。長谷部氏は「デジタル化は区だけでは限界がある。23区だけでエストニアより人口が多い。都内自治体でデータの連携ができれば、便利になることが多々あるはずだ」と話している。

(杉本耕太郎が担当しました)

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