米大統領選、治安・人種問題が争点に 60年代以来
バイデン氏「大統領が暴力扇動」トランプ氏「バイデン氏は弱腰」

米大統領選
2020/9/1 13:00
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トランプ米大統領は治安対策の強化を訴える=ロイター

トランプ米大統領は治安対策の強化を訴える=ロイター

【ワシントン=中村亮】11月の米大統領選で治安対策・人種問題が大きな争点に浮上している。公民権運動が激化した1960年代以来だ。世論調査では治安対策の強化を訴えるトランプ大統領の支持率に持ち直しの兆しがある。バイデン前副大統領が対面遊説を近く再開する方針で両候補は激戦州で有権者の争奪戦を繰り広げる。

「トランプ氏が街頭の暴力を扇動している」。民主党の大統領候補に指名されたバイデン氏は8月31日、東部ペンシルベニア州で演説し、こう主張した。西部オレゴン州ポートランドで8月29日に起きた銃撃で1人が死亡。因果関係は捜査中だが、周辺ではトランプ氏の支持者とそれに対抗するグループの衝突が起きていた。

トランプ氏は8月31日の記者会見で、「民主党が権力を握れば全ての都市が第二のポートランドになりうる」と訴えた。ポートランドでは5月以降に黒人差別への抗議デモが活発に行われ、一部が暴徒化した。トランプ氏は民主党のポートランド市長が、連邦政府による治安要員派遣を拒否したことが暴徒化の一因とみる。

バイデン前副大統領は「暴力を扇動」とトランプ氏批判を強める=ロイター

バイデン前副大統領は「暴力を扇動」とトランプ氏批判を強める=ロイター

大統領選では治安対策と人種問題が大きな争点となっている。キング牧師の暗殺事件後に激しくなった暴動を受けて共和党候補のニクソン氏が「法と秩序の回復」などを訴えて勝利した1968年以来だ。トランプ氏は「バイデン氏は犯罪行為に弱腰」と批判する。米司法省によると、黒人10万人当たりの刑務所収容者数は2018年に1134人。同白人の約5倍だ。米国では警官が黒人を不当に扱っているとの批判が多く、警察の解体や予算削減を求める声がある。一方で治安維持に警官が不可欠との現実論も根強い。

トランプ氏は9月1日、警官による黒人男性の背後からの銃撃事件後に略奪や放火が起きた中西部ウィスコンシン州ケノーシャを訪れる。治安維持にあたる警官や州兵と対話する予定だ。

トランプ氏の治安強化の訴えは有権者の支持を集め始めた可能性がある。調査会社ユーガブなどが8月27、28日に実施した調査によるとトランプ氏の支持率は41%と、バイデン氏(47%)と6ポイント差だった。7月末にはバイデン氏が9ポイントリードしていた。

米政治サイトのリアル・クリア・ポリティクスが算出する各種世論調査の平均値でもバイデン氏のリードは縮んでいる。激戦州である中西部ミシガン州でバイデン氏のリードは8月31日時点で2.6ポイントだった。8月上旬には約8ポイントの差があった。南部フロリダやウィスコンシンの両州でもバイデン氏のリードが縮まっている。

危機感を強めるバイデン氏は選挙戦略の修正に動いた。米メディアによると、バイデン氏は9月7日のレーバーデー(労働者の日)後に、有権者を集めた対面での遊説を再開する。ペンシルベニアやウィスコンシン、中西部ミネソタ、西部アリゾナの各州が候補にあがる。バイデン氏はこれまで東部デラウェア州の自宅からオンラインで選挙活動を行ってきた。

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