清水庁舎移転など大型事業白紙に 静岡市長が表明

2020/8/31 20:00
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静岡市は8月31日、市役所清水庁舎の移転など凍結中のハード事業2件の予算措置を取り下げると発表した。いったん白紙として期限を定めず改めて検討する。これらの事業は田辺信宏市長の肝煎り施策。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で抜本的な見直しを迫られた格好だ。

田辺市長は31日の記者会見で2事業に関する予算措置の取り下げを表明した

田辺市長は31日の記者会見で2事業に関する予算措置の取り下げを表明した

清水庁舎移転と海洋文化施設整備の2事業の債務負担行為を廃止する。債務負担行為は翌年度以降の支出を約束する措置。清水庁舎に94億円、海洋文化施設に166億円を設定していた。2020年度の予算に盛り込まれている関連経費も減額する。議案を市議会9月定例会に提出する。

駿府城公園周辺に整備する歴史文化施設と合わせた3事業は、市が進める「5大構想」での中心施策だ。19年の市議会9月定例会で予算上の裏付けも確保したが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて今年5月に事務手続きを停止した。9月をめどに方向性を示すことにしていた。

今回、抜本的な見直しを迫られた背景にあるのが、コロナの影響で逼迫する市の財政だ。地元経済に与える影響を軽減するための経済対策を進めたことで、貯金に相当する財政調整基金は5月補正予算の後に約1億円に減った。9月補正後は47億円まで戻す見込みだが、余裕のある水準とは言えない。

PFI(民間資金を活用した社会資本整備)方式を採用して海洋文化施設や清水庁舎隣接地の整備・運営を行う計画だったが、経済の先行きに不透明感が強く民間事業者の参入が見込めなくなったことも大きい。

清水庁舎の移転は一部の住民団体が移転先が津波浸水区域にあることなどを理由に反対する動きがある。同団体は移転賛否を問う住民投票を求めたが、市議会は住民投票に必要な条例案を賛成少数で否決した経緯がある。

田辺市長は8月31日の記者会見で「コロナは必ず終わる。市民の期待は大きい」として計画は中止しない考えを示した。計画は改めて練り直す。清水庁舎についてはコロナ禍による行政サービスや庁舎機能のあり方の変化を見極めるという。

海洋文化施設は民間事業者が参入しやすいようコンテンツの再検討などをする。再開時期は「経済社会状況を見定める必要がある」として田辺市長は示さなかった。

一方、歴史文化施設は事業の凍結を解除する。再開にあたっては来場者の動線を変えるなど感染防止対策をとる。オンラインなど新たな展示方法も採り入れる。22年秋の予定だった開業は23年春に延ばす。

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