利用広がる「クレカ投資」 ポイント還元でお得感も

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2020/9/3 2:00
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写真はイメージ=PIXTA

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コロナ禍で、「現金よりも衛生的」との意識からキャッシュレス決済の利用が広がった。電子マネー決済やQRコード決済の普及も進んだが、やはりクレジットカードの存在感は大きい。そんな中、投資の世界でもクレジットカードの利用が広がっている。カードで投資信託や株式が購入できる、「クレカ投資」サービスの提供が増えているのだ。セゾンカードを使って投資信託の積み立て投資をする利用者は、「身近なカードで少額から気軽に投資を始められるのがいい」と話す。

■増えるクレカ投資の選択肢

現在クレジットカードを投資の決済に利用できるのは、各社とも積み立て投資の場合のみ。2018年8月に最初にサービスを開始したのは、商業施設を運営する丸井グループだ。子会社としてtsumiki証券を設立し、丸井Gが発行する「エポスカード」での投信の積み立てを可能にした。同年10月、楽天証券は「楽天カード」で同様のサービスを開始。さらに19年11月にはクレディセゾンが証券会社のスマートプラスと提携し、「セゾンカード」や「UCカード」での投資を可能にするサービス「セゾンポケット」を開始した。

クレカ投資サービスへの参入は足元でも続いている。20年7月からは高島屋ファイナンシャル・パートナーズとSBI証券が提携し「タカシマヤカード」で投信を購入できるようになった。21年2月以降は、SBI証券で三井住友カードを使って投信の積み立てが可能になる予定だ。「新たなサービスを通して、特に若年層や投資初心者層を取り込んでいきたい」(三井住友カード)。実際、既にクレカ投資のサービスを開始している利用者は、各社とも20~30代が主だという。

なぜクレカ投資は若年層や投資初心者層をひきつけるのか。最低で月100円から積み立て投資が始められる(楽天カードとタカシマヤカードの場合)という手軽さも理由のひとつではあるが、それだけではない。口座開設手続きのスムーズさも、投資になじみのない層の加入を後押ししている。

口座開設時にはクレジットカードに登録された情報が既に入力されている(写真はtsumiki証券の口座開設画面)

口座開設時にはクレジットカードに登録された情報が既に入力されている(写真はtsumiki証券の口座開設画面)

カード会社と提携した証券会社は、既にカード会社に登録されている顧客情報を利用できる(ただし、タカシマヤカードについてはカード情報が再利用されない)。そのため利用者は名前、生年月日、住所、電話番号、勤め先、指定口座などといった情報を入力する手間が省ける。あとはマイナンバーカードと確認書類が手元にあれば、スマホでそれらを撮影するだけ。早ければ数分で申し込みが完了する。

「スマホでは、細々とした情報を入力するのは大変。嫌気が差して口座開設を断念してしまう投資初心者は少なくない」(クレディセゾン)。何となく「投資を始めよう」と考えて気軽に口座を開こうとした潜在顧客が、情報入力の面倒さから口座開設を後回しにするのを防ぐ。tsumiki証券で投信を積み立てする20代男性は、「マイナンバー通知カードをなくしてしまっていたため取り寄せに苦心したが、その後の口座開設手続きはあっという間だった」と話す。

クレカ投資は約2年前から各社が始めた新しいサービスのため、専用口座開設サイトのUI(ユーザーインターフェース)やUX(ユーザー体験)がよりシンプルで、スマホ利用に適した設計がされているのも魅力的だ。「積み立てた金額は、カードでの買い物と同じく利用明細に表示される。投信購入費を含めた支出額を一覧できるのもメリット」(tsumiki証券)

■初心者の「迷い」をなくす

投資初心者が最初に直面するのが、「どの商品を選べばいいか分からない」という悩み。そのストレスを軽くするため、購入できる商品をあえて絞り込んでいるサービスもある。

利用者の7割が投資初心者のtsumiki証券は、購入できる商品を4本の投信に絞っている。内訳は、セゾン投信が運用する商品が2本、レオス・キャピタルワークスの商品が1本、コモンズ投信の商品が1本。全てつみたてNISA制度の対象商品だ。積み立てできる額は月3000~5万円。4本とも選ぶことも可能だ。「選択肢の多さはかえって『商品を決められない』という負荷になる。そうしたストレスは、投資の知識が少ない初心者にはより重くのしかかると考えた」(tsumiki証券)。優柔不断でかつ投資経験がないという人でも、4つの商品から選ぶのであればハードルは低く感じられるだろう。

セゾンカードとUCカードで投信や株式を積み立てることができるセゾンポケットも、商品の選択肢は少なく設定している。購入できるのは、グループ会社のセゾン投信が運用する投信が2本、ETF(上場投資信託)が3銘柄、国内の単元未満株が130銘柄。投信は月1000円から、個別株(ETF含む)は月5000円から、月合計5万円まで積み立てできる。「株式については小売業、サービス業、食料品などの身近な業種や、東証株価指数(TOPIX)100に採用されている銘柄の中から、積み立てがしやすい株価水準で流動性も高い銘柄を選定した」(クレディセゾン)。キリンホールディングス日清製粉グループ本社、ミクシィやビックカメラなどが採用されている。女性利用者には、食品メーカーの銘柄が人気だという。

■高いポイント還元率で上級者も取り込む

購入できる商品が絞り込まれているのは、投資初心者にとってはありがたい。しかし、ある程度投資の知識がある経験者にとっては物足りない面もある。幅広い商品の中から自分に合ったものを選びたい人もいるだろう。

クレカ投資で、ベテラン投資家も取り込んでいるのが楽天証券だ。投資対象は、楽天証券で取り扱っている約2500本の投信。ラインアップの中には特定のテーマに沿った企業を中心に投資するテーマ型投信などもある。「他社と異なり、初心者よりも以前から投信を運用していた経験者の方が多い」(楽天証券)

初心者のみならず、ベテラン投資家からも支持される理由は、ポイント還元率の高さにある。楽天カードを使って月100~5万円で投信の積み立てができるが、積立額に対して1%の楽天ポイントが得られる。同様のサービスを手掛ける他社ではポイント付与率が0.1~0.5%なのに対して、高水準だ。月末時点での投信残高に応じてもポイント還元がある。残高50万円以上で毎月50~1000ポイントがもらえる。

さらに、楽天銀行と楽天証券の口座を連携し、その際「ハッピープログラム」というサービスに登録すると、投信の残高10万円ごとに毎月4ポイントを受け取れる。獲得ポイントの上限はない(ただし、その場合は前述の投信残高50万円以上で得られるポイント還元はなくなる)。楽天証券、楽天銀行、楽天カードといった「楽天経済圏」を持っているからこその高還元。楽天証券で投信を購入する顧客の62%がクレジットカード決済を利用しているという。

■クレカ投資 選び方のコツは

21年2月に三井住友カードのサービスが開始すれば、クレカ投資ができるカードは合計で5種類となる。利用を検討している人は、自分がどのクレジットカードを頻繁に利用するのか、どういった商品を選びたいのか、どのポイントの利用頻度が高いのかなどを考えて選ぶといいだろう。

また、サービスの細かな違いは把握しておきたい。例えばエポスカードでの投資は、設定されているショッピング利用可能枠において投資額はカウントされないが、楽天カードやセゾンカード、UCカード、タカシマヤカードは含まれる。うっかり買い物をしすぎて積み立てができなくなったという事態は防ぎたい。各社とも、積み立て投資についてはリボルビング払い(リボ払い)ができないことも知っておこう。

(大松佳代)

日経マネー 2020年10月号 アフターコロナの配当生活入門

著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2020/8/21)
価格 : 750円(税込み)

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