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スキー、北京五輪に向け強化再開 海外合宿も「解禁」

アルペンスキーは8月からスイスで合宿を行っている(写真は2018年アルペンスキーW杯男子回転での大越龍之介の滑り)=共同

全日本スキー連盟が新型コロナウイルスの影響で凍結していた強化活動を8月から再開した。アルペンスキーを皮切りに海外での合宿にも出向き、五輪のプレシーズンとなる新シーズンや2022年北京冬季五輪に向けた体制を整える。実戦的な練習には雪が欠かせないという特有の事情を抱えるスキー競技。強化関係者は安全にも配慮しながら、バランスを考えたかじ取りを迫られる。

「アクセルとブレーキ(の選択)をしっかりとする」。8月17日、東京都内で記者会見を開いた皆川賢太郎競技本部長はリスタートへの決意と同時に、もしもへの備えを強調した。新型コロナの感染拡大が深刻化した3月、ワールドカップ(W杯)ジャンプメンバーらが帰国。昨シーズンの戦いは最終盤で打ち切られ、そのまま連盟の活動も自粛に入った。

緊急事態宣言下、選手はコーチ陣とリモートでコミュニケーションを取り、6月下旬以降は主に巡回指導と限られた練習環境でオフを過ごしてきた。一方、欧州連合(EU)内の移動制限が緩和され、欧州などのライバルは氷河のある高地での雪上練習をこなせている状態。競技によっては毎年4~5月から雪を求めて海外に渡ってきた日本勢にとって、これ以上の停滞は不安を抱えたままの五輪プレシーズン入りを意味する。

フリースタイルスキー・モーグルも9月に海外合宿を再開(2月、全日本選手権モーグルでの堀島行真の滑り)=共同

連盟などの首脳陣は感染対策のガイドラインの実効性が確認できたとして、8月上旬にノルディックスキー・複合が長野県白馬村で合宿を再開。アルペンスキーの男女は渡航可能なスイスのザースフェーなどで8月下旬から合宿を行い、フリースタイルスキー・モーグルも9月に同国に遠征する予定だ。

ほかの五輪競技団体の活動がほぼ国内にとどまるなか、一足早く海外に赴く先陣として注目が集まるが、リスクは当然ゼロではない。連盟は万全を期すため、医療コンサルティングのキャピタルメディカ(東京・港)と提携。海外での情報収集のほか、国内外で感染者が出た場合の連絡やその受け入れ、PCR検査の相談などが迅速にできる態勢を整えた。皆川本部長は「国のルールをキャッチアップしながら強化、転戦を考える」と臨機応変に対応していく考えを強調した。

補助金頼みからの脱却進める

東京五輪が来夏に延期となり、北京冬季五輪と同じ2021年度にずれ込んだことで、思わぬ不確定要素も生まれている。スポーツ振興くじ(toto)の収益に基づく助成金、日本オリンピック委員会(JOC)や国からの補助金が夏季競技と取り合いになり、冬季競技に不利に働くのでは、との臆測が一部で出ている。

強化活動再開について記者会見する全日本スキー連盟の皆川競技本部長(8月17日)=共同

ただ、マーケティング担当も兼ねる皆川本部長は「税金を使って強化事業をやらせていただくなかで、独立していく考えも強く持ってきた」と話す。補助金頼みの運営から脱却し、自主財源の確保を進めてきた近年の改革が下支えする要素にはなる。21年度予算(20年8月~21年7月)で見込む経常収益は約13億8千万円と、改革前の6年前と比較すると約5億円増加。要因は選手の会費や当時の2倍以上になった協賛金だ。

多くの競技団体が景気悪化によるスポンサー離れに苦しむなか、選手たちのウエアにロゴを入れられるトップスポンサーは、昨季の6社がそのまま継続となり、新たに日本酒「八海山」で知られる八海醸造(新潟県南魚沼市)も加わった。五輪を控える中国やスキー人気が高い欧州で知名度を高める狙いのほか、「この時期だからこそ応援したい」と同社は説明する。

欧米が主戦場になるスキーやスノーボードのW杯では、大会参加のための渡航に関して合宿とは別の障壁が出てくる可能性もある。皆川本部長はいち早く情報を把握して動く重要性を強調し、「北京五輪で結果を残す準備をするのが我々の使命」と言葉に力を込める。先の見えない幾多の試練をいかにくぐり抜けるか、底力が試されるシーズンとなる。

(西堀卓司)

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